商品について
ベルンハルト・フーバーの没後、その情熱は息子のジュリアン・フーバーに受け継がれ、現在造られているシュペート・ブルグンダーは、近年、全房ブドウの使用割合を僅かに増やしているため(10%から15%)、熟したチェリーやラズベリーの果実味が、繊細ながらも印象的に感じられます。また、フレンチオークでのマロラクティック発酵後、新樽の使用は控え、1〜2年使用した古樽へ移し替えてているため、デリケートなスミレやバラの香りが心地よく漂います。瓶詰め時には、清澄や濾過を行わないためワインの香りと味わいに複雑さが加わります。そして非常に上質なタンニンを持つため、何年もかけて熟成するのに十分なポテンシャルを持っています。
タイプ |
赤ワイン
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飲み口 |
辛口 |
ブドウ品種 |
ピノ・ノワール100%(2019)
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原産国・地域 |
ドイツ/バーデン/マルターディンガー
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生産者 |
アルテレーベン |
格付け |
クヴァリテーツヴァイン |
テイスティングノート
新樽の使用を控えめにしていることにより、繊細な花の香りの要素であるスミレやバラの華やかなフローラルノートが注いだ瞬間から感じ取れます。そして全房ブドウを15%ほど使用することによって、チェリーやラズベリなどの赤系果実の香りが加わります。口に含むと、早期収穫や独自の醸造方法によって生じる複雑さや繊細さなアロマが広がり、先代より受け継がれてきた古樹から生まれる上質なタンニンによって、余韻は長く上品で、長期熟成のポテンシャルも持ったワインに仕上がっています。
【生産者】アルテレーベン
ベルンハルト・フーバー醸造所は、世界的に知名度の高いドイツの高品質シュペート・ブルグンダー(ピノ・ノワール)の生産者です。特にドイツのワインガイド『ゴー・ミヨ』で高い評価を受け、赤ワイン部門での最優秀賞受賞歴もあります。ベルンハルト・フーバー氏は、1987年に家族の所有する5ヘクタールのブドウ畑を引き継いだのち、収穫したブドウを全て地元の協同組合に納品していた当時の家業の業態を徐々に変えていき、協同組合も脱退し、自らワインを生産するようになりました。少しずつブドウ畑の所有面積も増やしてゆき、現在では28haを所有しています。ベルンハルト・フーバー氏没後の現在は、息子ユリアン氏が父の理念を引き継ぎながら、ワイナリーを革新し、『最優秀若手醸造家賞』を受賞するなど、さらなる成功を収めています。
アルテレーベンの特殊なワイン造り
アルテ・レーベンとは、フランス語の『ヴィエイユ・ヴィーニュ』、英語の『オールド・ヴァイン』と同義語で、ドイツ語で古樹を意味します。ブドウ栽培では、繊細で上質なタンニンを生み出すために、果房に直接日光が当たらないように工夫し、果皮を薄く実らせます。収穫の際には、早朝に手摘み収穫を行い、最新鋭の選果台を使用して厳選したブドウを使用しています。 熟成に使う新樽は30%までに抑えることで、チェリーやラズベリなどの赤系果実の香りが綺麗に残り、上質なタンニンにより、滑らかな質感を持つワインが仕上がります。
【生産地】バーデン
バーデン地方はドイツ南西部に位置し、ライン川に沿って南北に長く連なる産地のほか、マイン河の支流のタウバー川の流域にある産地や、スイスとの国境の湖であるボーデン湖のほとりに位置する産地などがあり、合計約15,500haにもなる、ドイツ国内で3番目の規模を誇るワイン生産地域です。バーデン地方と一概に言っても、各産地ごとに土壌と気候はだいぶ異なっており、各地であらゆるタイプのワインが造られています。
バーデン地方全体の共通項として挙げられる特徴としては、ドイツワイン産地の中でも最南端に位置し、日照量に恵まれている点です。そのためバーデン地方では黒ブドウ品種も十分に成熟させることが可能です。その昔はミュラー・トゥルガウが広く栽培されていましたが、近年ではシュペート・ブルグンダー(ピノ・ノワール)の栽培が1番多く、バーデン地方の栽培面積全体の約4割を占めています。豊富な日照量の確保によって健全に熟したブドウからは、凝縮感のある果実味のあるワインが生まれます。
一方で、ドイツ最南端といえども、ヨーロッパ圏のワイン産地の中では、緯度の高い産地の部類に入る地域のため、ブドウ由来の酸はワインに綺麗に残りやすく、結果として、果実味と酸味の良好なバランスの取れたワインに仕上がります。
マルターディンガー
マルターディンガーは、バーデン地方の小さなエリアで、カイザーシュトゥール地域の東に位置します。気候は、温暖なバーデン地方に位置しながらも、冷涼で湿っています。土壌は、隣国のフランス、コート・ドールから続く地層の上にあり、赤い石灰岩土壌が広がっており、緩やかな斜面の地形によって、ブドウの成熟に適度な日照量が確保できます。地元の歴史の記録によると、シトー会の修道士が約700 年前にマルターディンガーに訪れた際に、テロワールがシャンボール・ミュジニーに似ていたため、バーデン地方で初めてピノ・ノワールを植樹しました。かつてのシトー会の修道士達が、ピノ・ノワールに適切なテロワールを見抜く目利きに優れていた事は、今日のブルゴーニュのグラン・クリュの各産地が、高品質ワインを生み出し続けていることで証明されているのは明白の事実です。そのため、マルターディンガーで生産される高品質なシュペート・ブルグンダー(ピノ・ノワール)は、しばしばブルゴーニュのピノ・ノワールと間違われるほど、香りや味わいが似通っており、スミレやバラのブーケのような華やかなフローラルノートに加え、チェリーやラズベリーなどの赤系果実の果実味が感じられ、石灰岩土壌によってもたらされるミネラル感が混ざりあい、ワインの味わいに複雑みがもたらされた、上質なミディアムボディの赤ワインが生み出されています。