商品について
かつて「ニュージーランドで最もブドウ栽培に適した土地」と評された北島マーティンボロで、パイオニアとしてワイン造りへの道を切り拓き、この地をピノ・ノワールの聖地にまで昇華させたアタ・ランギ。
このワインは、世界的な賞の受賞経験豊富な名手が生み出すワインです。若い樹のブドウがもたらすフレッシュな果実味を軸に、冷涼なテロワールがもたらす複雑な風味も兼ね備えています。ニュージーランド最高峰のピノ・ノワールの魅力をカジュアルに楽しめる一本です。
タイプ |
赤ワイン |
飲み口 |
辛口 |
ブドウ品種 |
ピノ・ノワール 100%
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原産国・地域 |
ニュージーランド/ワイララパ/マーティンボロ
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生産者 |
アタ・ランギ(ATA RANGI) |
格付け |
G.I. MARTINBOROUGH |
テイスティングノート
色調は、やや深みのある澄んだルビー色です。
香りは、ピノ・ノワールの特徴香であるチェリー、ラズベリーなどの赤系ベリーの芳醇なアロマが主体です。これにスミレやバラの花の繊細な香りと、トースト香やスパイスなどの樽由来のニュアンスもほんのりと優しく加わって、さまざまな香りが層をなしています。
味わいは、フレッシュな果実味と、マーティンボロの冷涼な気候を反映した高い酸、そしてブドウの長い生育期間を経て得られる旨みの凝縮感が特徴的です。シルキーでありながらしっかりとしたタンニンのストラクチャーがあり、天然酵母由来の複雑な風味が奥行きを与えています。
全体として、フレッシュな果実感を軸に、ほどよい樽香とシルキーなタンニン、複雑なフレーバーを併せ持つ、エレガントで調和の取れたピノ・ノワールです。
【生産者】アタ・ランギ
アタ・ランギは、1980年、クライヴ・ペイトン氏と妻のフィル、クライヴの妹のアリソンとその夫オリヴァー・マスターズの4人によって、ニュージーランドのマーティンボロで設立されたワイナリーです。アタ・ランギというワイナリー名は、マオリ語で「新しい始まり」や「夜明けの空」を意味し、ワイン造りへの希望が込められています。
アタ・ランギはニュージーランドにおけるピノ・ノワールの先駆者であり、世界最高峰のピノ・ノワールとされるロマネ・コンティをルーツに持つ「エイベル・クローン」と呼ばれるブドウの樹を使用しています。このクローンは、フランス・ブルゴーニュ地方にあるロマネ・コンティの畑から旅行者がブドウ樹の枝を持ち帰り、ニュージーランドに持ち込もうとしたものが税関で没収され、その後税関職員のエイベル氏が正式に検疫・通関した後に、自身のブドウ畑に植えて増やしたものが元になっています。
アタ・ランギのピノ・ノワールは、世界的に高い評価を受けています。中でも、ロンドンで開催される世界最大級のコンテスト、インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティションで「最優秀ピノ・ノワール トロフィー」を3度受賞したことは、同コンテストの歴史の中でも類をみない快挙です。
さらに、2010年にウェリントンで開催されたインターナショナル・ピノ・ノワールでは、「ニュージーランドにおける偉大な成長」を意味するTipuranga Teitei Aotearoa賞を受賞しています。この賞は、アタ・ランギのピノ・ノワールが長年にわたり、品質、評価、知名度においてニュージーランドのピノ・ノワールの発展に大きく貢献したことを讃えるものです。
アタ・ランギのワインは、同業者からも高く評価されており、クラウディ・ベイの醸造家ケヴィン・ジュッド氏からは「私の一番好きなニュージーランド・ワイン」と評されています。このように、アタ・ランギのピノ・ノワールは、一般のワイン愛好家や評論家に加え、醸造家からも敬愛されている名品なのです。
アタ・ランギの独自のワイン造り
アタ・ランギでは、自社畑と契約畑計55ヘクタールで、主にニュージーランド国内最古のDRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)の苗木であるエイベル・クローンのピノ・ノワールを栽培しています。エイベル・クローンはマーティンボロの厳しい気候にも適応し、このクローンから造られるワインはその品質の高さから「ニュージーランドのロマネ・コンティ」とも称されています。
栽培では、環境に配慮したサステイナブル農法とビオディナミ農法を採用し、殺虫剤や化学肥料、除草剤は使用しておりません。
収穫は、マーティンボロ地区の様々な区画の樹齢5~25年の樹から、手摘みで丁寧に行います。
収穫したブドウの大部分は除梗し、全房発酵率は10%に留めます。これにより、ワインに複雑さを加えつつ、過剰な渋みや梗由来の風味が支配的になることを防ぎ、ブドウ本来のフレッシュな果実味を引き立てています。
発酵は、開口式ステンレス発酵槽で天然酵母を使用して行われます。天然酵母による発酵は培養酵母に比べて時間がかかることで、酵母がより多くの風味成分を生成・蓄積し、香りと味わいにこの地特有の深みと複雑さがもたらされます。
熟成はフレンチオーク樽で12ヶ月間行われます。比較的短めの熟成期間により、ブドウ本来の芳醇な果実味が前面に出つつ、樽由来のスパイスやトーストのニュアンスもほどよく感じられる、バランスの取れた味わいに仕上がります。
アタ・ランギは環境への配慮も徹底しています。環境マネジメントシステムであるISO14001を取得し、環境保護活動にも積極的に取り組みながら、持続可能で高品質なワイン造りを実践しているワイナリーです。
【生産地】ワイラパパ/マーティンボロ
アタ・ランギが位置するマーティンボロは、ニュージーランド北島南部のワイララパ地区にあり、首都ウェリントンから約55㎞北東に位置しています。この地域は、西にそびえるラムータカ・ヒルの山々と東のワイララパ丘陵に挟まれ、南西にはクック海峡が広がる変化に富んだ地形が特徴です。
マーティンボロは、世界でもトップクラスのピノ・ノワールの産地として知られており、気候や土壌の条件にフランス・ブルゴーニュ地方との類似点が多く見られます。
気候は、冷涼な海洋性気候に分類され、豊富な日照量と昼夜の寒暖差が大きいことが特徴です。
この地のピノ・ノワールは、豊富な日照を受けて果皮が厚くなり、その結果、濃い色調と豊富なタンニンを持つワインを生み出します。現地では、このような特徴を「core(芯)がある」と表現し、骨格のはっきりした力強い赤ワインとして知られています。
さらに、マーティンボロでは周囲の山々や丘陵が雨よけの役割を果たすため、降雨量が少なく、ニュージーランドの中でも比較的乾燥した地域です。特に、ブドウの開花期や結実期に南西のクック海峡から強い海風が吹き込むため、ブドウの収量が自然と抑えられ、結果として凝縮感のある高品質なブドウが育まれます。
また、この地域の土壌は、沖積土と砂利、そしてシルト質ロームやレスの混合土壌で構成され、排水性に優れています。この土壌特性は、ブドウの根に適度な水分ストレスを与えるためブドウの粒が小さく育ち、凝縮感のある高品質な果実を実らせます。また、ロームやレスには水分保持能力があることから、地中の温度上昇が緩やかになり、ブドウの生育期が延長されます。これにより、ブドウは長い期間をかけて成熟し、その過程で酸やアロマ成分が蓄積し、酸が高く複雑で深みのあるフレーバーを持つワインが生まれます。
このように、冷涼で乾燥した気候、強い日差しと風、水はけの良い土壌はまさにブドウ栽培に最適な環境で、これらの要因が相まって、マーティンボロは世界的に評価の高いピノ・ノワールの産地として名を馳せているのです。