商品について
1912年創業の伝統あるダーレンベルグが造る、オーストラリアの銘醸地マクラーレン・ヴェイルを代表するシラーズです。
伝統的な木製桶型のバスケット・プレスを用いた優しい圧搾と足踏み法による丁寧な抽出が、ワインに滑らかな質感をもたらしています。黒系果実と赤系果実のジューシーな果実味をしっかりとした酸が支え、シラーズ特有の黒コショウなどのスパイシーなニュアンスとベルベットのような滑らかなタンニンが完璧に調和しています。
この価格帯とは思えない複雑さと長い余韻が楽しめる、バランスの取れた逸品です。
タイプ |
赤ワイン |
飲み口 |
辛口 |
ブドウ品種 |
シラーズ 100%(2021)
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原産国・地域 |
オーストラリア/南オーストラリア州/マクラーレンヴェイル
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生産者 |
ダーレンベルグ (d’Arenberg) |
格付け |
McLaren Vale |
テイスティングノート
色調は、深みのある紫がかった濃い赤色で、縁には微かに明るいルビー色が見られます。
香りは、熟した黒プラムや濃厚なブラックベリーの果実香が豊かに広がり、ほのかな黒コショウとリコリス(甘草)の香りも立ち上ります。
口に含むと、豊かで凝縮感のある黒系果実の風味が口いっぱいに広がります。コーヒーや黒コショウのスパイシーな香りが複雑さを加え、フレッシュな赤いチェリーの果実味が爽やかな後味を残します。タンニンはベルベットのように滑らかな質感で、果実味と酸味、そして樽由来の風味が豊かな層を織りなす、長い余韻が楽しめるワインです。
【生産者】ダーレンベルグ
ダーレンベルグの歴史は1912年、南オーストラリア州のマクラーレン・ヴェイルでジョセフ・オズボーンが畑を購入したことに始まります。ワイン名の「フットボルト」は、ダーレンベルグの創業者が所有していた競走馬の名前で、馬を売った資金でワイン醸造を始めたことにちなんでいます。息子のフランクは畑を拡大して1928年に醸造所を開設し、ヨーロッパに向けて赤ワインと酒精強化ワインの輸出を開始しました。
1943年、フランクの息子フランシス(通称ダリー)がワイナリーを継承。彼の愛称にちなんで「ダーレンベルグ」の名を冠し、ワインの販売を開始しました。1983年には現当主のチェスターが醸造責任者に就任し、オズボーン家4代にわたる100年以上の歴史に新たな章を刻んでいます。チェスターはオーストラリアのローズワーシー農業大学で学んだ応用科学の知識を活かし、伝統的なワイン醸造方法を守りながら革新も続けています。
現在、ダーレンベルグはマクラーレン・ヴェイルに加え、アデレード・ヒルズにも自社畑を有しています。創業100周年を迎えた2012年には、世界各地で祝賀記念パーティーが開かれて、盛大に祝福されました。ダーレンベルグはこれまでに数々の受賞歴を誇り、1998年にはワインエステート誌の栄えある初代ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。1999年にはワイン&スピリッツ誌の年間最優秀ワイナリーにも選出されるなど、その功績は枚挙にいとまがありません。
ダーレンベルグの細部にまでこだわるワイン造り
ダーレンベルグでは、マクラーレン・ヴェイルのテロワール(地理的特性)を深く理解した上で、各品種に最適な場所を選んでブドウの栽培を行っています。
収穫されたブドウは、デモイジー・クラッシャーと呼ばれるゴム歯付きの破砕機で、少量ずつ丁寧に破砕されます。この方法により、果汁のフレッシュなアロマを保持したまま、果汁を優しく抽出することが可能となります。
破砕後のブドウは5トンの開放型発酵槽に移されて発酵が行われます。発酵が約3分の2まで進行したところで、伝統的な足踏み法を用いてブドウから果実味、色素、タンニンを抽出します。これにより、豊かな果実味と複雑な構造を持つワインの基礎が造られます。
次に、木製のバスケット・プレスで圧搾し、得られた果汁をフレンチオーク樽に移してマロラクティック発酵(MLF)を行います。MLFにより、ワインの酸味が和らぎ、まろやかさと深み、複雑さが増します。
その後の樽熟成で、ワインは凝縮された果実味やスパイスの香り、柔らかいタンニン、そして深みと複雑性を獲得していきます。シュール・リー(酵母の澱とともに熟成させる方法)で樽熟成を行うことで、酵母の成分がワインに溶け込み、味わいに深みが出るとともに、柔らかな口当たりのワインが生み出されます。
【生産地】マクラーレン・ヴェイル
マクラーレン・ヴェイルは、南オーストラリア州アデレードの南約35kmに位置する、オーストラリアを代表するワイン産地です。フルリオ半島の北西部に位置し、西側をセント・ヴィンセント湾、東側をロフティ山脈に挟まれた、変化にとんだ景観を持つエリアです。標高差も相まって、この地域には様々な局地的な気候(メソ気候)が存在し、これがワインに複雑な風味がもたらされる要因となっています。
マクラーレン・ヴェイルは地中海性気候で、暖かく乾燥した夏と穏やかで湿度の高い冬が特徴です。夏の乾燥した気候はブドウの病害を防ぐ効果があります。また、昼夜の寒暖差が大きく、日中の温暖な気温でブドウの糖度が上がり、夜間の冷え込みで糖と酸の分解が抑制されることで、甘味と酸味のバランスが取れたブドウが育ちます。さらに、西からの海風と東の丘陵からの冷風がブドウの成熟をゆっくりと進めることで、酸味と構造がしっかりとしたバランスの良いワインが生まれます。
マクラーレン・ヴェイルの土壌は驚くべき多様性を誇り、40種類以上の異なるタイプが存在します。その年代は1億5,000年から5億5,000万年以上にわたり、主に鉄分の豊富な赤い土壌と、砂質土壌で構成されています。赤い土壌はブドウの根が深くまで張りやすく、豊富な鉄分やミネラルの吸収を促します。これにより、濃厚でタンニンの強いブドウが育ちます。
一方、砂質土壌は水はけが良く、根が地表付近で広がる傾向があります。砂質土壌は栄養分も少ないため、ブドウは水分と栄養の両面でストレスにさらされることになります。また、砂質の土壌は温まりやすく冷めやすい特性があります。ブドウは水分および栄養ストレスと温度変化の大きさで成熟を急ぎ、結果として軽やかでフルーティな特徴を持つブドウが育ちます。
このような、マクラーレン・ヴェイルの独特のテロワールが、赤い土壌由来の力強さと砂質土壌の繊細さを併せ持ち、高級ワインに匹敵する品質ながらコストパフォーマンスに優れたフットボルト・シラーズを生み出すのです。