商品について
フランス・アルザス地方が生んだ革新的生産者マルセル・ダイスの哲学が詰まった一杯。自然農法で造られたミュスカ・ダルザスとミュスカ・オトネルをブレンドし、究極のテロワールを表現した魅惑的な白ワインです。
ミュスカ特有のフローラルでフルーティな香りに、野生酵母による自然な発酵がもたらす複雑でコクのある味わい、爽やかな酸味とミネラル感がもたらす引き締まったフィニッシュが、心に響く余韻を残します。
タイプ |
白ワイン |
飲み口 |
辛口 |
ブドウ品種 |
リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリ(2020)
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原産国・地域 |
ドイツ/アルザス/ベルクハイム
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生産者 |
マルセルダイス |
格付け |
AOCアルザス |
テイスティングノート
香りは、ミュスカ特有のマスカットなど果実のアロマと白い花の香りが広がり、複雑で凝縮感があります。
口に含むと、生き生きとしたミネラル感が際立ち、シャープでクリスプな酸と厚みのあるテクスチャーが見事に調和しています。長く続く余韻と引き締まったフィニッシュが印象的です。
このワインは、熟成によりさらに複雑な風味が引き出されることが期待できるワインです。
【生産者】マルセルダイス(Marcel Deiss)
ドメーヌ・マルセル・ダイスは、1947年に故マルセル・ダイスによって設立され、アルザス地方にテロワールの概念を初めて導入した革新的なワイナリーとして知られています。1975年に3代目のジャン・ミッシェル・ダイスが経営を引き継ぎ、現在は4代目のマチューがジャンと共にワイナリーの指揮を執っています。
ジャン・ミッシェルは、アルザス地方に「テロワール(産地の特性)」の概念を初めて持ち込み、ラベルへのブドウ品種の記載義務をなくすなどAOC法(原産地呼称保護法)の改正を成し遂げた信念と革新の人として知られています。現在もジャン・ミッシェルはアルザス・グラン・クリュ委員会の一員として、テロワールに基づく「プルミエクリュ」の実現に向けた活動を続けています。
ワイン造りにおける彼の哲学は、テロワールの個性をそのままワインに表現することであり、土地の個性を最大限に引き出すことに注力しています。彼は、ボーヌで学んだ醸造学に基づき「コンプランタション(混植)」という手法を推進しています。混植は、異なる品種のブドウを同じ畑に植える栽培法で、これにより品種の個性以上に土地の特性が際立つワインが生み出されます。
また、テロワールの本質を引き出すために、1970年代に有機農法の一種であるビオディナミ農法を採用しています。
これらの取り組みにより、マルセル・ダイスのワインは国内外で高い評価を受け、国際的に影響力がある『ワイン&スピリッツ』誌の「トップ100ワイナリー2022」にも選ばれています。
自然と伝統の融合が生む、マルセル・ダイスの比類なき自然派ワインの秘密
マルセル・ダイスは、自然派ワインの先駆者として知られています。有機農法の一種であるビオディナミ農法を採用し、1997年にはフランスのECOCERT認証という有機認証を、2007年にはビオディナミ農法に特化したDemeter認証を取得しています。
マルセル・ダイスのスプリングには、粘土石灰質土壌の1ヘクタールの畑で栽培されている、平均樹齢25年のミュスカ・ダルザスとミュスカ・オトネルを使用しています。収穫は、デリケートな品種であるミュスカの魅力を最大限に引き出すべく早めのタイミングに手摘みで丁寧に行われます。熟度が均一で品質の高いブドウのみを厳しく選別することで、濃厚な香りと味わいを持つワイン造りを可能にしています。
圧搾工程は、一般的には4時間程度で行うところを、マルセル・ダイスでは12~16時間かけ、ブドウの果皮が破れないようにゆっくりと圧搾します。これにより、果実のピュアな風味が保持されるとともに、果皮に含まれる香り成分やミネラルがより多く抽出され、複雑で深みのある風味が形成されます。
続く発酵工程では、野生酵母を使用することで、培養酵母による発酵に比べて発酵がゆっくり進行します。その過程でブドウが持つフルーティなアロマや花の香りが引き出され、豊かでコクのある味わいがもたらされます。マロラクティック発酵はほとんど行われないため、フレッシュな酸とブドウ本来の果実味が保持されます。
熟成は、1年間澱の上でワインをじっくり熟成させ、清澄・濾過は行われません。ワインの自然な成分がそのまま保持されるため、香りや味わいがより一層豊かなワインが生み出されます。
【生産地】ドイツ/アルザス
アルザス地方は、フランス北東部に位置し、ドイツとスイスの国境に接する高地に広がる重要なワイン産地です。西側のヴォージュ山脈と東側のライン川に挟まれ、ヴォージュ山脈が雨雲を遮ることから、フランスで最も乾燥した地域の一つとされています。気候は大陸性気候で、冬は寒く、夏は暑く乾燥し、昼夜の寒暖差が大きいことが特徴です。寒い冬の期間、ブドウは休眠期に入り、春の芽吹きに備えます。昼夜の寒暖差が大きい夏の気候は、昼間に糖分の蓄積が進み、ブドウの熟成が促進されながら、夜間の冷え込みが糖と酸の分解を緩やかにするため、豊かな果実味と鮮やかな酸味が特徴のブドウが育ちます。また、乾燥した夏の気候は、有害なカビなどの発生を抑制し、ブドウの健全な成長を促します。
アルザスの土壌は「テロワールのモザイク」と呼ばれるほど非常に多様です。かつての海底が隆起して形成されたこの地域には、花崗岩、石灰岩、粘板岩、砂利など13種類以上の異なる土壌タイプが存在し、それぞれがワインに特有のミネラル感やシャープな口当たり、さらには長い熟成ポテンシャルを与えています。
ベルクハイム
マルセル・ダイスのワイナリーがあるアルザス地方のベルクハイムは、リボーヴィレ断層地帯に広がるワイン生産地です。ヴォージュ山脈とライン川に挟まれたリボーヴィレ断層地帯という場所が生み出す温暖で乾燥したミクロクリマ(微気候)の影響で独特のワインキャラクターが形成されます。
ベルクハイムの土壌は、特に石灰岩質土壌が特徴で、ブドウの根が深く張りにくく、水分が限られるため、果実がコンパクトに育ちます。これにより、シャープでクリスプな口当たりと引き締まったフィニッシュがワインにもたらされます。また、石灰岩と泥灰土に含まれるミネラルが、ワインに特有のミネラル感と複雑な風味をもたらします。
マルセル・ダイスは、これらのテロワールの特性を最大限に活かし、他の地域では味わえない深みと複雑さを持つワインを生産しています。