ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験は、合格率が非常に低い一次試験を通過した受験者のみが挑戦できるワインのテイスティング試験です。
二次試験はワイン知識というよりもテイスティング能力(実技)が求められる試験なため、受験生の中には「試験難易度は高いのか?」「どのように対策するのか?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、過去10年間で出題された試験問題を分析し、二次試験の出題傾向や試験対策を解説します。
先輩合格者の学習方法も紹介しているので、これからソムリエ・ワインエキスパート二次試験対策を受ける方は是非最後まで読んでみてください。

この記事の監修ソムリエ
佐々木 健太
ホームワインアカデミープロデューサー
年間受講者数日本一を誇るワインスクール講師。21歳でソムリエ資格を取得。南フランスにある一つ星レストラン「Keisuke Matsushima」にて研鑽を積み、帰国後は南青山「L’AS」を経て、株式会社WINE TRAILを創業。第9回全日本最優秀ソムリエコンクールファイナリスト。現在はワイン初心者でもワインを楽しめるよう小瓶ワインのサブスク「Homewine(ホームワイン)」を初め、会員3,000人を誇る。
二次試験の過去出題ワインと出題傾向

ワインエキスパート・ソムリエ二次試験では、ワインやその他酒類のテイスティングを通じて、受験者の「識別力」「分析力」「コメント表現力」が試されます。
この試験対策で最も重要なことは、試験内容と出題傾向を把握することです。
出題形式や内容を事前に把握せずに二次試験対策を始めてしまうと、学習範囲を絞ることができず、無駄な時間を増やしてしまいます。
この章では二次試験で出題されるワインの特徴や過去の問題からわかる出題傾向を詳しく見ていきます。
二次試験はスティルワインとその他酒類が出題
二次試験は基本的に「ブラインド・テイスティング形式」で行われ、ボトルのラベルや銘柄名が隠された状態で、外観・香り・味わいなどから品種や産地、ワインのタイプを評価します。
またソムリエとワインエキスパートでは出題ワインが異なります。
ワインエキスパート | ソムリエ | |
スティルワイン(赤/白ワイン) | 4種類 | 3種類 |
その他酒類(ブランデーなど) | 1種類 | 2種類 |
試験でテイスティングするワインのほどんどがスティルワイン(赤ワイン・白ワイン)になっており、例年、特定の品種が繰り返し出題される傾向があります。
またワインの試験でありながらもブランデーやウイスキーなどその他の酒類も出題されますので、お酒に関する幅広い知識が求められることも忘れてはいけません。
【ワインエキスパート資格】二次試験の過去出題ワインと出題傾向
ワインエキスパート側の二次試験では、ソムリエ試験よりも出題ワインの種類が多く、4種類のスティルワインが出題されます。
出題される生産地にはフランス・イタリア・スペインといった主要産地はもちろん、近年はニューワールド(チリ、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ)からの出題も増えています。
また、ブドウ品種ではカベルネ・ソーヴィニヨンとリースリングの出題割合が高いことがこれまでに出題された問題から分析できます。
- 白ワイン:リースリング(6回)、シャルドネ(5回)、ソーヴィニョン・ブラン(4回)
- 赤ワイン:カベルネ・ソーヴィニヨン(5回)、シラー(シラーズ)(4回)、ピノ・ノワール(3回)
以下の表は、過去10年間にワインエキスパート試験で実際に出題されたワインをまとめています。品種や産地の傾向を参考に、実際のテイスティング練習に役立ててください。
【過去10年のワインエキスパート試験出題ワイン一覧】
項目/年度 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
ワイン1 | リースリング | リースリング | リースリング | ソーヴィニョン・ブラン | リースリング | ソーヴィニョン・ブラン | トロンテス | リースリング | ソーヴィニョン・ブラン | ソーヴィニョン・ブラン | ミュスカデ |
ドイツ | オーストラリア | フランス | チリ | ドイツ | ニュージーランド | アルゼンチン | フランス | ニュージーランド | チリ | フランス | |
ワイン2 | ソーヴィニョン・ブラン | シャルドネ | シャルドネ | ミュスカデ | シャルドネ | 甲州 | シャルドネ | ヴィオニエ | 甲州 | リースリング | シャルドネ |
ニュージーランド | フランス | アメリカ | フランス | オーストラリア | 日本 | フランス | フランス | 日本 | オーストラリア | 日本 | |
ワイン3 | ピノ・ノワール | シラー | シラーズ | ガメイ | メルロ | サンジョヴェーゼ | カベルネ・フラン | テンプラニーリョ | カベルネ・ソーヴィニョン | グルナッシュ | カベルネ・ソーヴィニヨン |
アメリカ | フランス | オーストラリア | フランス | 日本 | イタリア | フランス | スペイン | アメリカ | フランス | アメリカ | |
ワイン4 | シラー | カベルネ・ソーヴィニョン | テンプラニーリョ | マルベック | グルナッシュ | カベルネ・ソーヴィニョン | ピノ・ノワール | カベルネ・ソーヴィニョン | シラー | テンプラニーリョ | サンジョベーゼ |
フランス | アメリカ | スペイン | アルゼンチン | フランス | オーストラリア | ニュージーランド | チリ | フランス | スペイン | イタリア | |
酒類1 | シングルモルト・ウイスキー | コニャック | 泡盛 | サンブーカ | ベネディクティン | 紹興酒 | ラム | テキーラ | オー・ド・ヴィー・ド・キルシュ | ジン | バーボンウイスキー |
【ソムリエ資格】二次試験の過去出題ワイン出題傾向
ソムリエ試験では、ワインエキスパート試験に比べてやや難易度の高い銘柄や、実務的に重要視されるワインが出題される傾向にあります。
旧世界の代表産地や、ここ最近では日本ワインやアジア圏のワインが出題された実績もあります。
さらにはサービス現場で頻出するスタンダードアイテムも多く採用されていることから、出題の幅が広がっている点も把握しておきましょう。
- 白ワイン:シャルドネ(6回)、ソーヴィニヨン・ブラン(5回)、リースリング(4回)
- 赤ワイン:カベルネ・ソーヴィニヨン(4回)、シラー(シラーズ)(4回)、ピノ・ノワール(3回)、サンジョベーゼ(3回)
以下の表では、過去10年間にソムリエ試験で出題されたワインをまとめています。出題されやすい産地や品種の傾向を把握することで、効率的な対策が可能となります。
【過去10年のソムリエ試験出題ワイン一覧】
項目/年度 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
ワイン1 | シャルドネ | ソーヴィニョン・ブラン | シャルドネ | 甲州 | トロンテス | アリゴテ | ソーヴィニョン・ブラン | シャルドネ | シャルドネ | ソーヴィニョン・ブラン | リースリング |
アメリカ | フランス | フランス | 日本 | アルゼンチン | フランス | フランス | フランス | フランス | フランス | ドイツ | |
ワイン2 | カベルネ・ソーヴィニョン | リースリング | シラーズ | カベルネ・ソーヴィニョン | リースリング | カベルネ・ソーヴィニョン | シャルドネ | サンジョヴェーゼ | リースリング | マルベック | ソーヴィニヨンブラン |
オーストラリア | フランス | オーストラリア | オーストラリア | フランス | アメリカ | 日本 | イタリア | ドイツ | アルゼンチン | フランス | |
ワイン3 | ピノ・ノワール | ピノ・ノワール | マスカット・ベーリーA | サンジョヴェーゼ | シラーズ | テンプラニーリョ | ネッビオーロ | メルロ | シラーズ | メルロ | シラーズ |
フランス | ニュージーランド | 日本 | イタリア | オーストラリア | スペイン | イタリア | アメリカ | オーストラリア | 日本 | オーストラリア | |
酒類1 | ドライ・ヴェルモット | ジン | マデイラ | オー・ド・ヴィー・ド・キルシュ | マデイラ | 梅酒 | ホワイト・ポート | ラム | ピスコ | ドライ・ベルモット | 泡盛 |
酒類2 | カルヴァドス | スイート・ヴェルモット | アルマニャック | ドランブイ | カルヴァドス | ジン | ウォッカ | ヴェルモット | イエガーマイスター | スコッチウイスキー | トウニーポート |
第5章ではワインエキスパート・ソムリエ試験にて頻繁に出題されるブドウ品種の特徴を生産地と絡めて解説していますので詳細を知りたい方はそちらをご覧ください。
二次試験攻略のために知っておきたい事前情報
ソムリエ・ワインエキスパート試験の二次試験は、単なる知識だけでは突破が難しい実技試験です。
一次試験と比べてしっかり対策した人としてない人でのレベル差が出やすく、審査員の目からもその違いがはっきりわかると言われています。
一次試験以上にしっかりとした事前準備が合格のカギを握っています。
この章では、これから二次試験に挑む受験者に向けて、効率的な準備のポイントと注意点を解説します。
独学での二次試験突破は難易度が高い

二次試験は、過去問の暗記だけでは太刀打ちできない「実技試験」であることが最大の特徴です。
特にワインテイスティングに関しては、実際にワインを飲んで経験を積むことが必須であり、独学だけで合格を目指すとしても最低数万円~10万円ほどの練習費用がかかってきます。
ワインを一人で購入して練習する場合、コストや本数の問題、客観的な評価が得られない点が大きなハードルになります。
加えて、ワインの香りや味わいの感じ取り方、コメントの言語化は独学ではどうしても限界があります。
そのため、多くの受験者はワインスクールやテイスティング講座を活用しながら、効率的に実力をつつけています。
独学でこれまで資格対策を行なってきた方でも二次試験対策だけはコスパ的にワインスクールに通い始める方が多くいるのが現状です。
得点しやすい(しにくい)項目を把握する

二次試験では全ての項目で高得点を狙おうとすることは現実的ではありません。
特に「酸味の強弱」「渋味の強弱」「アルコール度数の高低」などは、経験と訓練が必要な領域であり、短期間(1ヶ月半程度)で習得できるスキルではありません。
一次試験終了後から二次試験対策を始めた方では、学習時間的にこの分野で得点を積み重ねることは難しいです。
そのため、短期決戦で二次試験を突破するためには「得点しやすい項目」にフォーカスして、確実に点数を稼ぐ戦略が重要になります。
まずはワインエキスパート・ソムリエ二次試験の解答用紙例を見てみましょう。
次にテイスティングコメントの解答用紙の中で比較的得点しやすいとされる項目を事前に把握しましょう。
得点しやすい項目 | 理由 |
外観(濃淡) | 視覚的に判断できるため初心者でも対応可能 |
香り(フレッシュ/熟成) | 香りの強弱やフレッシュ感は比較的わかりやすい |
味わい(辛口/甘口・軽快/重厚) | 明確なスタイルの違いが出やすい |
【2023・2024年 ソムリエ・ワインエキスパート試験 配点割合】
項目 | ソムリエ | ワインエキスパート |
外観 | 20% | 20% |
香り | 30% | 30% |
味わい | 17.50% | 17.50% |
収穫年 | 5% | 5% |
生産地 | 7.50% | 7.50% |
主なブドウ品種 | 12.50% | 12.50% |
ここで注目すべきは「外観・香り・味わい」の3項目が配点の約70%を占めているということです。
そのため、得点配分が多い箇所から重点的にテイスティングの練習を行うことが最も重要になります。
ただし、味わいに関しては1~2ヶ月間での特訓では習得しずらい「酸味や渋味の把握」や「アルコール度数の判別」などプロでも難易度が高い能力が求められる項目も含まれています。
一次試験終了後から二次試験対策を始める方は味わいパートでの高得点は難しいものと理解し、その他の項目で得点を得点を死守する心構えでいきましょう。

これまで数千人という受験者を見てきましたが、一次試験終了後から二次試験対策を行う受験者は、ほぼ知識ゼロの状態からテイスティングを学ぶので、二次試験までの短い期間で覚えられる知識に限りがあります。
そのため、私も講師として講義内容を絞って行う必要がありました。一次試験から並行して二次試験対策を行っていた受講生はスキルアップが早かった印象があります。
理想的な学習スケジュールを理解する

前述の通り、二次試験対策は「一次試験が終わってから始める」では正直なところかなり遅いのがソムリエ講師としての本音でもあります。
一次試験期間中であっても、並行してテイスティング練習を少しずつ始めておけると他の受験生よりも一歩二歩リードできるでしょう。
特にワインスクールに通う場合は、二次試験対策を実施しているかという情報だけでなく、「いつから二次試験対策講座がスタートするのか」を必ず確認しておくようにしましょう。
スクールによっては一次試験の合格発表後からしか二次試験対策が始まらない場合もあります。テイスティング試験合格に不安を感じる方は少しでも早く二次試験対策ができるスクールを選びましょう。
理想的な学習スケジュールは以下のイメージです。
→ 週1〜2本でも良いのでワインを飲んでテイスティングの練習を開始
→ テイスティングコメントの書き方や表現に慣れておく
→ 週3〜5本ペースで集中練習
→ 実際の試験形式でコメント作成練習を繰り返す
このように、計画的に学習を進めることで、二次試験本番でも自信を持って臨むことができるでしょう。
短期間で実力を伸ばすためにも、事前準備は入念に行ってください。
二次試験突破のための正しいテイスティング手法
ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験では、知識だけでなく「実践力」が問われます。
特にテイスティング試験は、正しい手順とポイントを理解していないと、自分の感覚だけに頼るあいまいな評価になりがちです。
ここでは、二次試験で確実に得点を積み上げるために必要な「テイスティング技術の基本」と「評価の考え方」、そして「試験で必要な専門用語」について解説します。

二次試験対策の講座では、お題のワインをみんなで飲み、評価をする内容が一般的です。
しかし、受験生の多くが求めているのは「どんなワインが出されても正確な解答ができるテイスティングスキル」ではないでしょうか?
そのためにはテイスティングを「体系的に学ぶ」ことが重要で知識やロジックでワインを分析するような講義を行なっている講座を選ぶと良いです!
テイスティング3ステップの基本と評価ポイントを知る
テイスティングの基本的な流れは、「外観・香り・味わい」の3ステップを丁寧に行うことから始まります。
各パートごとで「押さえるべき評価ポイント」や「審査員が求める基準」を理解しておくと、その観点を重点的に対策することができ、短期間で高得点を狙えるようになります。
例えば、ソムリエコンクールのような優勝者を決める試験において香りの表現は10〜15項目を評価する必要がありますが、資格試験は相対評価なため、5〜6項目を的確にコメントすれば十分な場合が多いです。
外観の評価ポイント
白ワイン
液面の色 | グリーン系 | ゴールデン系 |
参考イメージ | ・やや緑がかった淡いレモンイエロー ・冷涼な地域で造られた若い白ワインに多く見られる色合い | ・黄金色や濃いイエロー ・熟成を経たワインや樽を使って造られたリッチなスタイルのワインによく見られる |
味わい傾向 | エレガント系 ・爽やかで軽やか ・キレのある酸味とすっきりとした辛口の味わいが特徴 | リッチ系 ・コクがあり、丸みのある口当たり ・バターやナッツのような風味が感じられることも |
赤ワイン
フチの色 | ムラサキ系 | オレンジ系 |
参考イメージ | ・濃く深い紫がかった赤 ・果実味豊かな若い赤ワインに多く、色にハリがある | ・縁にオレンジやレンガ色 ・熟成が進むことで赤色が抜け、やや茶色みを帯びてくる色調 |
熟成度の 見極め方 | 若いワイン ・若いワインの特徴 ・フレッシュでタンニンに力強さや渋味がある ・やや荒々しい印象を受けることも | 熟成したワイン ・熟成が進んだワイン ・タンニンがやわらかくなり、まろやかで滑らかな口当たり ・風味にも複雑さが出る傾向 |
香りの評価ポイント
香りは「フルーツ」「花」の2系統をしっかり拾うことが重要です。他にもミネラル香や樽香や、ハーブ系の香りなど様々なジャンルがあります。
多くの受験生が試験合格のために全ての香りを網羅しようと思いますがこれはあまりおすすめできない対策方法です。
先ほど解説した通り、資格試験では5~6項目程度を特徴として拾えれば問題ないので比較的香りを掴みやすい「フルーツやアロマの香りを重点的に学習を進める」と良いです。
実は「ミネラル香」「樽香」などは難易度が高く、数ヶ月間で香りを上手に取れるようになるにはかなりの時間と経験が必要になります。
味わいの評価ポイント

テイスティングはただワインを口に含み、舌で感じたことを表現するような単純なものではありません。
重要なことは「口中でのワインの扱い方」です。ワインは口に含んだ後、すぐに飲み込むのではなく「噛むように」して口中全体に行き渡らせることが鉄則です。
これは、ワインの酸味や渋味、アルコールのボリューム感などがしっかりと感じ取れるメリットがあります。
人間の舌は触れる場所によって感じ取れる五味(渋味/酸味/甘味/苦味/うま味)が異なります。
そのため、レストランなどで提供されるグラスは、ワインの味わいが口中で綺麗に調和されるように最適な形のグラスが用意されているのです。
例えば酸味の強いワインは舌にある酸味を避けるようにワインを飲めるリースリング型のグラスを、酸味が少ないワインは酸味を感じられるシャルドネ型のグラスを採用しています。
しかし資格試験では、試験用のテイスティンググラスが用意されているので、自ら口中全体にワインを行き届かせ、五味のどの要素が強く見られるワインなのかを拾う必要があります。
その結果、噛むようにワインを味わうテイスティングが二次試験では求められているというわけです。

ISO(国際基準協会)の国際規格テイスティンググラスはワインの特徴を適切に感じれるような作りにはなっていません。
そのためワインを口に含んだら自らワインの特徴を掴みに行く必要があります。
口中全体にワインを触れさせ、舌全体に神経を集中させることが重要です。
テイスティング練習の環境を整える
先ほど「外観・香り・味わい」の3ステップが基本になるとお伝えしましたが、テイスティングの練習場所にも十分に気を使うようにしましょう。
照明と視覚環境
例えば外観では確認する部屋が暖色系の灯りになっていたりすると、ワインの色味を正確に判断できなくなります。
無色の蛍光灯に照らされた部屋や、もしそのような環境下で実施ができない場合は、できる限り白のトーションをグラスの下に敷き色味を確認するようなテイスティング環境を用意してください。
香りの妨げになる要素を排除する
香りに関しても、ルームフレグランスが効いているような部屋やタバコの臭いがするような空間では極力行わないようにしましょう。
周囲の香りに邪魔されずにワイン本来の香りが取れる環境で練習することを意識してください。
【タイプ別】出題ワインの勉強方法
二次試験ではワインエキスパート・ソムリエ資格の両方で白・赤ワインをメインとしたテイスティングが求められます。
さらにソムリエ試験ではワインエキスパートよりもその他酒類が1酒類多い状態で評価する必要があります。
特に白ワイン・赤ワイン・その他酒類は、それぞれ評価軸が異なるため、タイプ別にテイスティングの着眼点を整理しながら練習に取り組むことが合格への近道です。
この章では、各タイプごとにテイスティング時に注目すべきポイントを「外観」「香り」「味わい」に分けて解説していきます。
白ワインのテイスティングのコツ

白ワインは造られるエリアによってフレッシュなものからこってりした濃厚さをもつものまでさまざまあります。
またブドウ品種によって爽やかな香りから、アロマのような華やかな香りを感じるものまで存在します。
まずは白ワインにはどのような分析項目や評価ポイントがあるのかを体系的に学習するようにしましょう。
外観は液面の色味を参考にする
白ワインの色調は、そのワインのスタイルや熟成度を判断する重要な要素です。
液面にグリーンがかった色調が見られる場合、それは「若くフレッシュなワイン」である可能性が高く、主に冷涼な産地の辛口タイプに見られます。
一方で、色合いがゴールデン(黄金色)に近づくほど、樽熟成や糖度の高い「コクのあるリッチ系ワイン」であると評価されます。
一般的にゴールデン色のワインは新世界などの温暖な気候出身のワインに見られますが、ブルゴーニュの高級シャルドネワインや新世界の冷涼気候でも上質なテロワールで造られたワインからはこのような色味が見て取れます。
香りは柑橘系フルーツか南国系フルーツで見分ける
白ワインの香りはもちろんブドウ品種由来の香りもありますが、産地の気候が色濃く反映します。
冷涼な産地(例:ドイツ、ロワール)では「レモンやグレープフルーツなどの柑橘系フルーツ」、温暖な産地(例:カリフォルニア、南フランス)では「パイナップルやマンゴーなどの南国系フルーツ」の香りが感じられます。
まずは香りの種類を気候帯・産地との関係でリンクさせながら覚えるのが効果的な学習です。その次にブドウ品種由来の香りやその他細かい香りを拾いにいくようにしましょう。
味わいは「酸味」と「アルコール度数」の関係で見極めよう
味わいの判断では、「酸味の高さ」と「アルコールの度数」に注目しましょう。
酸味が強くフレッシュでキレのある酸を持つワインは「エレガント系」で寒い地域のワインに多い印象です。
一方で丸みがかった厚みのある口当たりで、程よいアルコールを感じるワインは「リッチ系」と評価されます。
温暖な気候に多いですが、冷涼気候の高級ワイン産地出身のシャルドネやリースリングなども時にリッチ系と評価する場合もありますので注意が必要です。
試験ではこの両タイプを正しく見極められることがスタート地点になりますので、今後テイスティングする全てのワインで確認するように心がけましょう。
赤ワインのテイスティングのコツ

赤ワインのテイスティングでは一番の特徴であるタンニン(渋味)を中心に香りや熟成度合いなどの観点に注目する必要があります。
また赤ワインは白ワイン同様にブドウ品種も複数種類存在しますが、その品種由来の違いが掴みにくいという受験生も多くいます。
テイスティングのコツを体系的に理解すると難しい赤ワインの特徴も試験本番で掴みやすくなります。
外観はグラスとワインの接触部分の色味を確認
赤ワインの外観の取り方は、グラスを斜め45度奥に倒したときに見える「フチの色」がそのワインの熟成度合いを示す大きな手がかりになります。
フチが紫色であれば比較的「若いワイン」、オレンジ色に近づくほど「熟成が進んだワイン」と判断します。
この差を見極められるかどうかで外観評価の精度が大きく変わります。
香りは赤系ベリーと黒系ベリーに大別して把握しよう
赤ワインの香りも産地のテロワールによって傾向が異なります。
冷涼産地(例:ブルゴーニュ、ドイツ)では「イチゴやラズベリーなどの赤系ベリー」、温暖産地(例:ナパ、南イタリア)では「カシスやブラックベリーなどの黒系ベリー」が中心です。
実は赤ワインはブドウ品種特有の香りも色濃く表現されることから白ワインよりも特徴を掴みにくい場合もあります。
しかし、栽培産地が比較的温暖な気候であれば、その土地で栽培できるブドウ品種も変わってきますので、その他周辺情報からエリアを特定し、そこからブドウ品種を特定することで目的の香りに辿り着くこともできるでしょう。
さらに、赤ワインは白ワインよりも樽熟成されていることが多く、「バニラ」「ナツメグ」といった樽由来のスパイス香も取れる場合があります。
味わいはタンニン量(渋味)で判断
味わいに関する赤ワインの評価は舌を強く引き締めるような感覚をもたらす「渋味(タンニン)」が大きな軸になります。
タンニン量が多ければ、そのワインは「フルボディ」に分類され、逆に渋味が穏やかで軽やかな印象であれば「ミディアムボディ」と判断します。
また若いワインではタンニンに角があるような荒々しさがありますが、熟成年数が進むにつれ、角がなくなりシルクのようなきめ細かい丸みを帯びたタンニンに変化する特徴も覚えておきましょう。
その他酒類のテイスティング対策
二次試験では、ワイン以外の酒類(いわゆる「その他酒類」)が1アイテム程度出題されることがあります。頻出なのは以下のような酒類です。
頻出酒類
- シェリー(特にフィノ/アモンティリャード)
- ポートワイン(トウニー/ルビー)
- マデイラ
- コニャック・アルマニャック
- グラッパ・カルヴァドス
色調
酒精強化ワインや蒸留酒は、色調がその製法や熟成年数を反映します。シェリーの「フィノ」は淡い黄色、アモンティリャードは琥珀色、ポートワインの「トウニー」は褐色を帯びています。これらの視覚情報は品種や製法を推測するヒントになります。
アルコール度数
蒸留酒(ブランデー類やグラッパ)はアルコール度数が非常に高く、口に含んだ瞬間のアタックで判断が可能です。一方、酒精強化ワインは通常のワインよりもやや高め(15〜20%)の範囲内で、飲み慣れていないと判別が難しいため、あらかじめ何度か飲んで慣れておくと良いでしょう。
ブドウ品種×産地で考える比較テイスティング
テイスティングの実力を高めるうえで欠かせないのが「ブドウ品種ごとの特徴を、産地によってどう変化するか」という視点です。
同じ品種でも、冷涼な産地と温暖な産地では香りや味わいが大きく異なり、その違いを理解することが二次試験でも重要なポイントになります。
ここでは、試験で頻出する代表的な10品種について、「香り・産地・味わい」の観点から比較できるよう整理しました。テイスティング練習の際の軸としてご活用ください。
白ブドウ品種
白ブドウ品種を見分けるためには主に品種特徴香をうまく捉えられるかや酸味の強さから判断することが重要です。
そのためにも、「冷涼産地で栽培されたブドウなのか」、「それとも温暖産地で栽培されたブドウなのか」は落ち着いて判断しましょう。
産地のテロワール自体を間違えてしまうと、ブドウ品種の絞り込みにかなり苦戦することになります。
この章では、まず各ブドウ品種が持つ特徴やそのブドウから造られるワインの味わいの違いについて学習しましょう。

受験生の中ではブドウ品種の特徴を丸暗記すべくノートにまとめたりする方がいますが、これは得点が伸ばせない学習法です。
確かにブドウ品種ごとで特徴を掴むことはできますが、実は栽培エリアや周囲を取り巻く気候帯によってワインから感じられる特徴が変化します。
そのため、エリアと品種の掛け合わせで学習を進めるようにしましょう。
シャルドネ – Chardonnay –
![]() | タイプ | 白ワイン |
生産地 | ブルゴーニュ(フランス):冷涼産地 カリフォルニア(アメリカ):温暖産地 | |
香り | 冷涼産地:レモン、青リンゴ 温暖産地:パイナップル、洋梨、バニラ(樽) | |
味わい | 冷涼産地:フレッシュでエレガントな味わい 温暖産地:リッチでコクのある味わい |
ソーヴィニヨン・ブラン – Sauvignon Blanc –
![]() | タイプ | 白ワイン |
生産地 | ロワール(フランス):冷涼産地 ニュージーランド:温暖産地 | |
香り | グレープフルーツ、青リンゴ、青草、ハーブ、トロピカルフルーツ | |
味わい | キリッとした酸味が特徴で、清涼感のある味わい 香りが華やかで印象に残りやすい |
リースリング – Riesling –
![]() | タイプ | 白ワイン |
生産地 | ドイツ:ミネラル感と高い酸 アルザス(仏):辛口で骨格がしっかり | |
香り | ライム、白桃、石灰、ペトロール(灯油) | |
味わい | 高い酸と華やかなアロマが特徴。辛口〜やや甘口まで幅広いスタイルがあり、繊細で長熟型も多い |
甲州 – Koshu –
![]() | タイプ | 白ワイン |
生産地 | 日本(山梨):温暖産地 | |
香り | 柚子、カリン、白い花、火打石 | |
味わい | 軽やかで穏やかな酸味。和食と相性の良いニュートラルな味わいが中心 |
ピノ・グリ – Pinot Gris –
![]() | タイプ | 白ワイン |
生産地 | アルザス(仏):冷涼産地 イタリア(ピノ・グリージョ):冷涼産地 | |
香り | 梨、黄桃、白胡椒、はちみつ | |
味わい | アルザスではオイリーな口当たり イタリアでは爽やかでカジュアルな飲み口 |
黒ブドウ品種
一方で黒ブドウ品種は渋味(タンニン)の豊富さやワインの色調を目印にブドウ品種を絞り込んでいくようにしましょう。
また果実の香りは赤系ベリーと黒系ベリーで区分けできるとよいでしょう。
ピノ・ノワール – Pinot Noir –
![]() | タイプ | 赤ワイン |
生産地 | ブルゴーニュ(仏):冷涼産地→繊細でエレガントな味わい オレゴン・NZ:冷涼気候→果実味豊かでふくよかな味わい | |
香り | イチゴ、ラズベリー、スミレ、土の香り | |
味わい | 渋みは穏やかで酸が高め。華やかで軽やかな味わいが魅力 |
カベルネ・ソーヴィニヨン – Cabernet Sauvignon –
![]() | タイプ | 赤ワイン |
生産地 | ボルドー(仏):骨格と酸が強く長期熟成型 ナパ(米):果実味豊かで飲みやすいスタイル | |
香り | カシス、ブラックチェリー、杉、バニラ(樽) | |
味わい | 力強い渋みと深い味わい。タンニンが豊富で長期熟成に適している |
メルロー – Merlot –
![]() | タイプ | 赤ワイン |
生産地 | サンテミリオン(仏):まろやかで芳醇なスタイル チリ:果実味が前面に出た親しみやすい味わい | |
香り | プラム、ブラックベリー、チョコレート、ローリエ | |
味わい | 柔らかいタンニンと丸みのある口当たりが特徴。飲みやすくバランスの良い味わいを作る |
シラー(シラーズ) – Syrah ( Shiraz ) –
![]() | タイプ | 赤ワイン |
生産地 | コート・デュ・ローヌ(仏):スパイシーで引き締まっている オーストラリア:濃厚で果実味たっぷり | |
香り | 黒胡椒、ブルーベリー、スモーク、なめし革 | |
味わい | 濃厚でしっかりした味わい。スパイスやスモーキーな要素が個性的 |
サンジョベーゼ – Sangiovese –
![]() | タイプ | 赤ワイン |
生産地 | トスカーナ(伊):酸が高くスリムなスタイル モンタルチーノ:より凝縮感のあるリッチタイプ | |
香り | チェリー、トマトの葉、紅茶、スパイス | |
味わい | 高めの酸と細かいタンニンが特徴。食中酒としてのバランスが良く、料理との相性も良い |
合格者に聞く!二次試験のおすすめ対策方法
これまで、ワインエキスパート・ソムリエ試験の二次試験の対策方法を紹介してきましたが、これから試験を受ける方にとっては実際の合格者の声も事前に知っておくと役立つことが多いです。
受験生ならではの悩みや、対策期間に苦しんだ箇所を理解した上で試験対策を進めるのと、知らないで進めるのとでは効率性の観点で大きな差が生まれます。
今回は二次試験に合格した先輩受験生3名にインタビューしました。
独学で勉強された方やワインスクールに通って二次試験に合格された方など、試験対策方法が異なる3名のリアルな声を参考にしてみてください。
インタビューした合格者紹介
インタビュー者 | 名前 | 独学で合格した資格試験 | 経歴 |
![]() | 石田 | ・ワインエキスパート ・ソムリエ | 2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得 2024年J.S.A.認定ソムリエ取得 |
![]() | 牛嶋 | ・ワインエキスパート ・ソムリエ | 2019年J.S.A.認定ワインエキスパート取得 2021年J.S.A.認定ソムリエ取得 |
![]() | 田中 | ・ワインエキスパート | 2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得 |
![]() | 大西 | ・ワインエキスパート | 2014年J.S.A.認定ワインエキスパート取得 |
【質問01】二次試験対策で難しいと感じたことは?

私は試験期間中、ソムリエの方が発信する二次試験対策のYoutube動画を使って学習を進めていました。
独学だったので、自分の理解とソムリエの方の解説に差があった際、その理由をすぐに解消できなかったことは非常に頭を悩ませていました。
今振り返るとコストを抑えるために独学で学習しましたが、二次試験対策はワインスクールに通ってもよかったなと思います。

ソムリエ協会やスクール講師がいう一通りの香りを脳で理解/認知できるように3ヶ月もかかったので「香りを正確に把握する」のが難しかった。
また、香りの表現で頻出する「スイカズラ」などは、試験勉強するまで花の名前すら知らなかったのでイメージしずらかったのを覚えています。
さらに、大枠で柑橘系の香りとわかってもそれが「レモン」なのか「グレープフルーツ」なのか具体的なフルーツに絞れるまではさらに時間がかかりました。

ワインを表現する「言語化」が難しいと感じました。
資格試験は自分の主観でワインの香りや味わいを評価する嗜好型官能評価ではなく、知識に基づいて客観的に評価する分析型官能評価が求められるため、苦戦したのを覚えています。

香りや味わいなどが似ているブドウ品種が多く、周辺情報なしでそれぞれの違いを理解するのが難しかったと記憶しています。
特にメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンの違いにはかなり苦戦していたと思います。
【質問02】二次試験対策で工夫したことはありますか?

柑橘系や赤系ベリーの香りなど抽象的な評価しながら学ぶのではなく、「レモン」や「フランボワーズ」など具体的なフルーツの名前を間違えても良いので自信を持って口にするようにしました。
またスクールの授業で提供されたワインを小瓶で半分持ち帰り、試験と同じISOグラスで翌日答えを伏せながら練習しました。前日の反省ができているか確認できるので良い勉強法だったと今では感じています。

最初の時は用紙にブドウ品種ごとの特徴を整理して書き出すことで、テイスティング時に実際にその香りを感じれたかチェックしながら練習するようにしました。
特に一つの香りは取れても、それ以外の香りが言い当てられないなどはよくあるので、しっかり言語化しながら行うことは非常にメリットがあったと思います。

購入したワインは小瓶に移し替え保管し、定期的に香りを嗅ぎながら特徴を把握するように取り組みました。
昼食前の午前中に嗅覚感度が高いと言われていたため、午前中にワインの香りを評価する時間を設けることで精度の高いテイスティングコメントができるようにしました。

限られた時間とコストで最大限の効果を得るために、購入したワインはすべて小瓶に詰め替えて保存し、1本のワインを複数日にわたってテイスティングできるようにしました。
また、実際の試験を想定して、同じタイミングで3〜4種類のワインを並べて比較するようにもしていました。
このようにすることで1種類ずつ味わうよりも「違い」が浮き彫りになるので、特徴が掴みやすく、実践的なトレーニングになっていたと今では振り返ります。
【質問03】二次試験合格に一番重要だと思うことは?その理由は?

ブドウ品種を当てにいこうとせずに、さまざまな角度から正確なテイスティングコメントを書くことが一番重要だと思います。
というのも、ブドウ品種にこだわりすぎると、もしその品種が使用されたワインではなかった場合、コメント全体がずれてしまい、大きな減点につながるからです。

白ワイン、赤ワイン共に「試験頻出品種」と「国/エリア」の組み合わせは徹底的に練習することをおすすめします。
これはワインを評価するための基礎/ベースとなるスキルで、受験者がテイスティングの基礎をしっかり抑えられておるかを測るのに最適なものだからです。

二次試験の設問内容や、求められる解答を早い段階で理解しておく事だと思います。
私は一次試験合格後に二次試験の解答用紙などを確認しましたが、その独特な表現の数々に驚きました。
二次試験で問われるワイン表現を理解した上でワインの試飲を開始した方が、圧倒的に効率的だったと反省しています。

「典型的なワイン像をしっかりと覚えること」が最も重要だと思います。
試験では、少ない情報から選択肢を絞る必要があるため、「リースリングならこういう香り」「カリフォルニアのシャルドネならこういう印象」といった代表的な特徴をしっかり押さえておくことが合格の近道ではないでしょうか。
逆に特徴を明確化できていないと、どんなワインを飲んでも迷いが生じてしまうので、判断力が鈍ると実感しました。
【質問04】やらない方がよい試験対策は?

試験直前に不安から、色々な講師の講座を受講しないようにするのも大切です。
講師ごとでワインの判断軸が異なるので、試験中に悩んだ際の判断基準がブレやすくなりました。
結果として、一貫性のない解答になりやすかったので注意してみてください。
また、ワイン仲間と過度なブドウ品種当てゲームなどはしないようにしましょう。二次試験の本質はブドウ品種を当てるというよりもワインの方向性を的確に捉えることです!

やみくもにワインの試飲会に行くのはおすすめできない勉強法だと思いました!
私の二次試験対策は主に試飲会にとにかく足を運び数多くのワインをテイスティングするものでしたが、毎回の評価が正しいのか分からずにいました。
テイスティングにおける最低限の知識を体系的に学び、その上で試飲会などに足を運び自らの経験値としていくという順番が大切だと思います。

1種類のワインを徹底的に分析しようとすることは、結果的に非効率だと学習を通して身をもって体感しました。
もちろん深掘りは大切ですが、試験では広く「典型的なスタイル」を見極めることが求められるため、分析を細かくやって時間を割くよりも、
より多くのワインに触れて“ざっくりとした違い”や“見分けやすい特徴”を身につけることが大切だと思います。
完璧を目指しすぎて、結果として練習量が不足してしまうのは避けたいところです。

知識を入れる前にやみくもにテイスティングをすることです。
まずは量をこなすことが重要といっている方もいらっしゃいましたが、間違った感覚などが癖ついてしまうので、個人の意見としてはあまりおすすめできません。
まずブドウ品種ごとの特徴を知識レベルで理解してから、テイスティングに取り組むべきだと感じました。
【2025年】ワインエキスパート試験概要

ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験は、一次試験が知識中心の筆記試験であるのに対し、二次試験では「ワインテイスティング」が中心となります。
試験の内容はソムリエとワインエキスパートで若干の違いがありますが、共通してワインやその他酒類の評価を適切に行えるかが問われます。
第一章では、2025年の試験日程や、過去の合格率の推移からわかる二次試験の傾向について解説していきます。
2025年の試験日程
試験日
2025年10月6日(月)予定
合格発表日
試験日の約2週間後に、ソムリエ協会の公式サイトで発表
2025年の二次試験は、一次試験の合格発表後から約1ヶ月半後に実施されます。
※一次試験は7月15日~8月26日が試験期間とされており、受験者は試験実施後すぐに合否判定がわかります。
一次試験とは試験形式が異なるため、二次試験独自の対策が求められます。そのため受験生の多くが一次試験終了後からワインスクールの二次試験対策講座を受講することが多いです。
試験会場は全国主要都市(東京、大阪、名古屋、福岡など)に設置され、指定された日時・会場での受験となります。例年、一次試験合格発表から約1ヶ月半後に実施されるため、日程とスケジュール感をしっかり把握しておくことが大事です。
過去5年間の合格率推移(2020年〜2024年)
過去5年間の合格率を見ると、二次試験の通過率は年によって多少の変動がありますが、おおむね高い水準で推移していることがわかります。
過去5年の合格率推移 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
ワインエキスパート | 73.0% | 70.2% | 57.7% | 88.3% | 90.9% |
ソムリエ | 85.3% | 85.1% | 77.9% | 75.6% | 92.0% |
一方で、合格率の上下には「一次試験の難易度」が大きく影響している点も見逃してはなりません。一次試験の合格者数が多い年では二次試験の合格率がやや下がる傾向があり、逆に一次試験が難化した年では、二次試験の合格率が高めに出るケースが目立ちます。
実は二次試験は絶対評価ではなく相対評価が適用されています。一次試験の合格率によって二次試験の合格者数の調整が行われているため、このような変動が起きてしまっているのです。
このことからも、一次試験に合格したからといって油断は禁物。受験者層のレベル感が年によって異なるため、十分な対策が求められます。
まとめ
ソムリエ・ワインエキスパート試験の二次試験は、単なる“ワイン好き”では突破できない、極めて実践的な試験であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
しかし、出題傾向はある程度パターン化されており、対策次第で確実に合格へと近づくことができるのも事実です。
本記事では、以下の重要ポイントを通じて、実力を確実に伸ばすための考え方と練習法をお伝えしてきました。
- 出題傾向と試験日程の把握
→ テイスティングアイテムの傾向を知り、試験日から逆算して準備を開始 - 得点源になる項目の見極め
→ 香り・外観・コメント力など、点が取りやすい項目を重点的に強化 - 品種ごとの特徴と比較テイスティング
→ 同じ品種でも産地が違えば印象も変わる。香りや味わいの違いを整理して覚える - 実践に基づいた学習スケジュール
→ 一次試験中からの準備が合否を分ける。独学には限界があるため、必要に応じて講座の活用も視野に
特に、「何を見て、どう判断するか」を言語化できるかどうかが合格の最大のポイントです。香りや味わいを「何となく」ではなく、「こうだからこの品種/産地」と説明できるかどうか。
体系的にテイスティングを学べるか、まさにここが二次試験合格者と不合格者の明確な差が表れる重要なポイントです。
最後にお伝えしたいのは、「テイスティングはセンスではなく、訓練で身につく技術」だということです。焦らず、そして迷わず、一歩ずつ取り組んでいきましょう。
ホームワインアカデミーでも、これまで5,000人以上の受験生を合格に導いた佐々木健太氏が主任講師を務める二次試験対策講座を提供しています。
ソムリエ・ワインエキスパート試験対策を効率的に、体系的に学習したい方はぜひ受講をお待ちしています。