SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)二次試験対策!テイスティングと論述の傾向を徹底解説

SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)の資格取得を目指す上で、多くの受験者が壁に感じるのが実技であるテイスティングと筆記による論述の二次試験です。

すでに一次試験を突破して二次試験の準備を進めている方はもちろん、これから受験を控えている方もブラインドでお酒を見分けられるか、短い時間で論述を書き切れるか不安に感じているのではないでしょうか。

二次試験はソムリエ協会の明確な基準に基づいた評価の型と、限られた時間内で知識を引き出すタイムマネジメントが合否を分けます。

本記事では二次試験の配点戦略から実践的なテイスティングの判別テクニック、そして論述試験の過去の傾向まで、合格ラインを突破するためのノウハウを徹底的に解説します。

▶︎SAKE DIPLOMA (酒ディプロマ)とはどんな資格?

この記事の監修ソムリエ

佐々木 健太

ホームワインアカデミープロデューサー

国内トップクラスの受講者数を誇るワインスクール講師。21歳でソムリエ資格を取得。南フランスにある一つ星レストラン「Keisuke Matsushima」にて研鑽を積み、帰国後は南青山「L’AS」を経て、株式会社WINE TRAILを創業。第9回全日本最優秀ソムリエコンクールファイナリスト。現在はワイン初心者でもワインを楽しめるよう小瓶ワインのサブスク「Homewine(ホームワイン)」をはじめ、会員3,000人を誇る。

目次

SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)二次試験の内容と配点戦略

SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)二次試験の内容と配点戦略

二次試験はテイスティングと論述の2部構成で同日に実施されます。

むやみに多くのお酒を試飲したり知識を詰め込んだりする前に、まずは試験の全体像と配点の仕組みを正しく把握することが大切です。

合否を分ける相対評価の仕組みを理解し効率的な得点戦略を立てましょう。

テイスティング試験と論述試験の概要

二次試験は時間との厳しい戦いになります。限られた時間の中で感覚を研ぎ澄まし頭の中の知識を素早く引き出す必要があります。

テイスティング試験(30分)

出題内容日本酒4種、焼酎2種
条件各50mlが国際規格のグラスで供出されお代わりは不可
解答形式マークシートによる選択式

論述試験(20分)

出題内容教本に記載された事項や料理のペアリングなど
問題数と文字数2〜3問が出題され各200字程度で記述
解答形式原稿用紙への手書き(鉛筆またはシャープペンシル)

テイスティング試験は30分で合計6種類のお酒を評価しなければなりません。1種類あたり約5分という過酷なペースで外観や香りなどのコメントを選択し特定名称や原料を判別します。

論述試験も同様に時間が短く、20分で最大600字の文章を構成して書き切る必要があるため試験当日に考えている余裕はほとんどありません。

配点内訳と上位60%の相対評価

二次試験の合格基準は規定の点数以上で合格という絶対評価ではありません。

その年の受験者全体の成績によって合格ラインが変動する相対評価となっており、例年上位約60%の受験者が合格する傾向にあります。

そのため他の受験者が正解する問題を確実に得点しどこで差をつけるかの戦略が求められます。

テイスティング試験の配点割合の目安

回答項目配点割合の目安
香り32%
味わい23%
その他の設問(焼酎含む)19%
特定名称13%
外観13%

配点の大部分を占めるのは選択する用語の数が多い香りと味わいのコメントです。

ここで大きく外さずに得点を重ねることがベースとなりますが、1つの回答に対する配点が高い特定名称その他の設問が全体のスコアを底上げする重要な要素となります。

無難なコメントより特定名称を当てて差をつける

多くの受験者はテイスティングコメントにおいて極端な表現を避け、無難な中間的コメントを選択する傾向にあります。

そのためコメント部分だけでは受験者間で点数の差がつきにくく、合格圏内である上位60%に入るための決定打にはなりにくいのが実情です。またソムリエ協会の想定する正解から微妙にズレてしまうことで気付かないうちに点数を落とすリスクもあります。

そこで合格への近道となるのが、配点が高い特定名称を確実に当てることです。

1問で4点の配点がある特定名称を1つでも多く当てることでコメント選択の多少のミスを十分にカバーできます。

さらに純米大吟醸か速醸の純米酒かといった特定名称を正しく見極めることができれば、自ずと選ぶべき香りと味わいのコメントの方向性も定まります。

特定名称と焼酎の種類などの高得点問題をしっかりと確保し、論理的な裏付けを持ってコメントを選択する戦略が二次試験突破の鍵となります。

【テイスティング対策】日本酒の出題傾向と判別テクニック

ブラインドで出される4種類の日本酒を目の前にして、直感だけで全てを言い当てるのは至難の業です。

しかし出題には一定の傾向があり、評価のポイントを論理的に整理することで正解率は大きく向上します。

過去の出題から分析する基本の4タイプ

二次試験で出題される4種類の日本酒には例年共通したパターンが存在します。まずは4つのグラスがそれぞれどのベースタイプに該当するのか以下の表を頭に入れておきましょう。

日本酒の基本出題パターン(計4種)

出題枠該当する特定名称・酒母
大吟醸系純米大吟醸酒 または 大吟醸酒
吟醸系純米吟醸酒 または 吟醸酒
速醸の純米・本醸造系速醸系酒母の純米酒 または 本醸造酒
生酛・山廃系生酛や山廃系酒母の純米酒

これら4種類のグラスのうち、3つが純米系のお酒となり残りの1つがアルコール添加酒(大吟醸、吟醸、本醸造のいずれか)になる構成が基本パターンです。

4つのグラスを嗅ぎ比べた際、まずはどのグラスが表のどのタイプに当てはまるのか、そしてどれがアルコール添加酒の枠なのかを推理します。

全体像を俯瞰してそれぞれの役割を振り分けることでコメント選びの迷いを減らすことができます。

特定名称とアルコール添加を見極めるコツ

特定名称を導き出すためには、精米歩合による「香りの華やかさ」とアルコール添加の有無による「味わいのキレ」という2つの軸で思考を整理します。

精米歩合が低く華やかな果実香があれば大吟醸系や吟醸系、香りが穏やかでふくよかなお米の旨味が感じられれば純米酒や本醸造酒といった具合に絞り込みます。

また、アルコール添加の有無は多くの受験者がつまずきやすいポイントです。

アルコール添加を見分けるポイント
  • アルコール感で判断しない
    • 割り水によって度数が調整されているため口当たりの強さだけでは見抜けない
  • 木香様臭(きっこうようしゅう)を探す
    • アセトアルデヒドに由来する青リンゴや草などの香りがサインとなる
  • 後味のキレを確認する
    • 純米酒に比べて余韻が短く香味がスッキリと切れる感覚があるかを見極める

特に、アルコール添加酒は全体のバランスがドライに仕上がる傾向があります。香りのニュアンスと後味の引き際の良さを基準に見分けることが重要です。

米の品種と酒母(生酛・山廃)の見極め方

原料米の品種や仕込み方法(酒母)の違いも二次試験で頻出する設問です。品種や製法に由来する明確な特徴を舌と鼻で探り当てます。

主要な酒米4品種の特徴

米の品種特徴
五百万石香りが穏やかで後味がスッキリとした淡麗辛口に仕上がる
美山錦なめらかで透明感があり軽快なバランスの良さが特徴
山田錦香味が豊かでボディがしっかりとした飲み応えのある旨辛口
雄町甘味が強くねっとりとした特有のコクとふくよかさを感じる

酒米の判別は難易度が高いですが、スッキリしていれば五百万石、ボディが強ければ山田錦といったように全体の酒質から推測を立てます。

また生酛や山廃といった酒母の識別については、外観や香りに分かりやすいサインが現れます。

生酛・山廃系を見分けるサイン
  • 外観の色の濃さ:イエローやゴールドといった色調がはっきりと出やすい
  • 乳製品や土の香り:ヨーグルトやサワークリームのような発酵臭やマッシュルームのような土っぽい香りがする
  • 力強い酸味と旨味:乳酸由来のしっかりとした酸味と奥深い旨味が口に広がる

これらの特徴が重なるグラスがあれば、生酛や山廃系酒母である可能性が高いと判断できます。それぞれの特徴を知識として紐づけながら正解を導きましょう。

【テイスティング対策】用語選択(マークシート)のセオリー

テイスティングのマークシートでは自分の個人的な感覚で言葉を選ぶのは禁物です。ソムリエ協会が設定している「正解の型」に沿って用語を選択することがポイントとなります。

ここでは外観や香りと味わいの3つの項目において、どのような基準でマークシートの用語を選べばよいのかセオリーを解説します。

外観の選び方

外観は、日本酒の色調や透明感を表現する項目です。特殊な製法のお酒を除き基本的なパターンがある程度決まっています。

外観 (色調)の基本パターン

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お酒のタイプ選択する用語選択の基準
通常の日本酒クリスタル、シルバー基本となる無色透明な組み合わせ
若々しい新酒グリーンフレッシュさの表現として追加
古酒・山廃系イエロー、ゴールド熟成による色の濃さに応じて選択

ほとんどの無色透明な日本酒はクリスタルとシルバーを選べば大きく外すことはありません。

少しでも色味が感じられた場合は、その度合いに応じてイエローなどをパズルのように当てはめていきます。

香りの選び方

香りの項目は、選択する用語の数が多く配点も大きいため合否を分ける重要なポイントです。お酒のタイプごとに選ぶべき香りのグループが決まっています。

香りのグループと選択のサイン

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香りのグループ選択する用語該当するお酒の特徴
基調香(ベース)グレープフルーツ、スイカズラ純米酒など香りが穏やかなお酒
果実・花黄色いリンゴ、洋梨、アカシア大吟醸や吟醸特有の華やかな吟醸香
アルコール添加セルフィーユ、青竹アル添特有の木香様臭
生酛・山廃系ヨーグルト、サワークリーム乳酸菌由来の特有の発酵臭

自分が「純米大吟醸」だと判断したのであれば果実や花のグループから多く選び、「生酛系」だと判断したのであれば乳製品のグループを確実に選ぶといったように、特定名称に合わせてパズルのように用語を選択する手法が有効です。

味わいの選び方(甘味・酸味・バランス)

味わいは、甘味や酸味などの項目ごとに細かく分かれています。単なる強弱ではなくソムリエ協会独自の形容表現を用いる点が特徴です。

味わい項目の選択セオリー

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味わいの項目選択する用語選択の基準
甘味上品な、まろやかな強弱ではなく形容表現を使用(純米大吟醸が最も甘い傾向)
酸味(乳酸系)しっかりとした生酛などに多い力強い酸味
酸味(リンゴ酸系)爽やかな吟醸酒などに多い軽快な酸味
バランスと余韻ドライな、短いスッキリとキレが良いお酒
バランスと余韻豊潤な、長い奥深い旨味が長く続くお酒

目の前のお酒がスッキリとした「キレ重視」なのか奥深い「旨味重視」なのかを判断し、それに連動する形で用語を埋めていくのが正解を導くセオリーです。

【テイスティング対策】焼酎の出題傾向と見分け方

二次試験のテイスティングでは日本酒に加えて2種類の焼酎が出題されます。

焼酎は、日本酒のように香りのコメントなどをマークシートで選ぶ必要はありません。出題された2種類について、種類と蒸留方法そしてアルコール度数の3つをそれぞれピタリと当てる形式です。

配点の割合は日本酒に比べると小さいですが、トレーニングを積めば確実に得点できる貴重なポイントになります。ここでは焼酎を攻略するための見分け方と練習法を解説します。

出題される焼酎の種類と常圧・減圧の傾向

焼酎の種類は麦、米、芋、黒糖、粕取り、泡盛の中からまんべんなく出題されます。

種類を特定する上で重要になるのが、「常圧蒸留」「減圧蒸留」という蒸留方法の違いです。種類によってどちらが出題されやすいかある程度の傾向が決まっています。

焼酎の種類と蒸留方法の出題傾向

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焼酎の種類蒸留方法出題傾向の理由
麦焼酎常圧蒸留減圧は特徴が少なく常圧が出やすい
芋焼酎常圧蒸留一般的に常圧で造られることが多い
黒糖焼酎常圧蒸留特徴が明確に出る常圧が出題されやすい
泡盛常圧蒸留一般的に常圧で造られることが多い
米焼酎減圧蒸留一般的に減圧で造られることが多い
酒粕焼酎減圧蒸留一般的に減圧で造られることが多い

このように麦や芋などは素材の個性が強く出る「常圧蒸留」が選ばれやすく、米や酒粕はスッキリとした「減圧蒸留」が出題されやすい傾向にあります。

この法則を頭に入れておくと選択肢を絞り込みやすくなります。

特徴的な香味から種類を特定する

焼酎の種類を特定するには、それぞれの原料に由来する決定的な香りの手がかりを探すのが一番の近道です。

グラスに鼻を近づけるだけでなく、口に含んで鼻に抜ける香り(基調香)を確認することがポイントです。

種類を特定する香りの手がかり
  • マスカット・ライチ様
    • 柑橘系果実の香りがすれば芋焼酎(常圧)
  • バニラ・キャラメル様
    • 甘い香りがすれば黒糖焼酎(常圧)または一部の米・泡盛
  • マジパン・麦茶様
    • 香ばしく焦げた香りがすれば麦焼酎(常圧)
  • 吟醸香(フルーティー)
    • 華やかな香りがすれば酒粕焼酎または米焼酎(減圧)

これらの香りを嗅ぎ分けることができれば、種類と蒸留方法をセットで当てることが可能になります。まずは代表的な銘柄を飲み比べて香りの違いをインプットしておきましょう。

アルコール度数を見抜くトレーニング

アルコール度数を判別することは、焼酎の種類を絞り込むための大きなヒントになります。

一般的な焼酎の製品度数は種類によって「25度」「30度」のグループに分かれる傾向があります。25度は芋や麦や米などが多く、30度は泡盛や黒糖焼酎に多く見られます。つまり、25度と30度の違いさえ見分けることができれば種類を大きく絞り込むことができます。

度数を見抜く感覚を養うためには、自宅での割り水トレーニングが有効です。

アルコール度数を見抜く練習法
  • 準備:アルコール度数40度の焼酎(種類は問わない)を用意する
  • 調整:デジタルスケールを使い40度の焼酎を水で割って20度、25度、30度、35度の液体を作る
  • 実践:家族などに頼んでランダムに出してもらい度数をブラインドで当てる

はじめのうちは度数の低い順に並べ替える練習からスタートし、慣れてきたら単独で飲んで度数を当てられるようになるまで反復練習を繰り返しましょう。

【論述試験対策】時間内に書き切るコツと過去問

【論述試験対策】時間内に書き切るコツと過去問

論述試験はテイスティング試験の直後に20分間で行われます。

時間が圧倒的に足りないという受験者の声が多く、その場で考えていては最後まで書き切ることができません。ここでは過酷な論述試験を乗り切るための事前準備と文章構成のコツを解説します。

論述試験の主な出題テーマ

論述試験は教本に記載されている内容から幅広く出題されますが、過去の傾向からある程度テーマを絞り込むことができます。

過去に出題された主なテーマ

出題テーマ具体的な内容
製法の違い生酛と山廃の違い、菩提酛などの伝統的な仕込み方法
酒米の特徴特定の品種(山田錦や雄町など)の歴史や酒質の特徴
産地の特徴特定の都道府県における酒造りの歴史や気候風土
料理との相性特定の焼酎やテイスティングで出題されたお酒に合う料理

このような頻出テーマについては教本の内容をしっかりと読み込み、それぞれの特徴を自分なりの言葉で説明できるように準備しておくことが大切です。

200字を時間内に書き切る答案作成のコツ

20分という制限時間で200字程度の問題を3問解答するため、1問あたりにかけられる時間は約6分しかありません。いきなり文章を書き始めると途中で文字数が足りなくなったり論点がズレたりしてしまいます。

効率的な答案作成のステップ

STEP
キーワードを抽出する

問題文を読んだら必ず盛り込むべき専門用語を3〜4個書き出す

STEP
肉付けして構成する

書き出したキーワードを繋ぎ合わせて180〜200字程度にまとめる

STEP
手書きの速度を上げる

日頃から横書きの原稿用紙を使い文字を埋めるスピードを計る

採点はキーワードが的確に含まれているかを見る加点方式と言われています。綺麗な文章を書くことよりも、必要な知識を漏れなく簡潔にまとめる記述術を磨きましょう。

頻出するペアリング問題の採点ポイント

近年の試験では「テイスティング試験で供出されたお酒に合わせておすすめする料理と飲み方とその理由」を問うペアリング問題が頻出しています。

この問題には明確な採点基準が存在します。

ペアリング問題の主な採点基準
  • お酒の香味コメント:そのお酒の特徴を簡潔に述べているか
  • 料理の提案:具体的な料理名が挙げられているか
  • 合わせる理由:お酒と料理が調和する論理的な理由があるか
  • 供出温度と酒器:適切な温度帯とグラスや器の種類が指定されているか

試験本番でゼロから料理を考えるのはリスクが高いため事前の準備が明暗を分けます。

あらかじめ、カプレーゼや野菜の天ぷらといった洋食と和食のペアリング定型文を複数用意し、丸暗記しておく手法が非常に有効です。

そのまま使える!頻出テーマ別オリジナル練習問題と構成案

ここでは過去の出題傾向をベースにした具体的な練習問題を3つ提示します。それぞれ模範解答例と解答作成プロセスを解説しますので、試験前のシミュレーションとして活用してください。

練習問題1:特定名称と料理のペアリング

問題

テイスティング試験で供出された山廃純米酒に合う料理を一つ挙げ、その理由とおすすめの供出温度、酒器を200字程度で述べよ。

解答例

山廃純米酒に合う料理として豚の角煮を提案する。山廃純米酒は天然の乳酸菌に由来する力強い酸味と複雑で奥深いコクと旨味が特徴である。そのため豚の角煮のような脂の甘味や醤油の濃厚な味付けを持つ料理と合わせることで互いの旨味が同調し相乗効果が生まれる。このふくよかな味わいを最大限に引き出すため供出温度は40〜50度のお燗とし、香りを穏やかに広げる平盃を酒器としておすすめする。(189文字)

乳酸、コクと旨味、豚の角煮、お燗、平盃といった必須キーワードを軸に構成します。

山廃純米酒特有の乳酸由来の酸味とコクに触れた後、それに同調する味付けの濃い肉料理を提案します。最後に、旨味を引き出すお燗の温度帯と香りを穏やかにする平盃を紐づけてまとめます。

練習問題2:主要な酒米の比較

問題

山田錦と五百万石の特徴と、それぞれの酒米から造られる日本酒の酒質の違いについて200字程度で説明せよ。

解答例

山田錦は兵庫県を主産地とする酒造好適米で心白が大きくタンパク質が少ないため高度精白に向いている。香味が豊かでボディのあるふくよかな旨辛口の酒質に仕上がりやすい。一方、五百万石は新潟県を主産地としやや硬く小粒な心白を持つのが特徴である。こちらは発酵が穏やかに進むためスッキリとキレのある淡麗辛口の酒質に仕上がりやすい。両者は対照的な特徴を持ち日本酒の多様性を支える代表的な品種である。(196文字)

心白、兵庫県、新潟県、ふくよか、淡麗辛口などの必須キーワードを配置します。

前半でそれぞれの代表的な産地と心白の特徴を説明し、後半で山田錦のふくよかな旨辛口と五百万石の淡麗辛口という対照的な酒質の違いを対比させて記述します。

練習問題3:製法と歴史

問題

生酛造りのメカニズムと、そこから生み出される酒質の特徴を200字程度で述べよ。

解答例

生酛造りとは江戸時代に確立された伝統的な酒母造りの手法である。米と米麹、水をすり潰す山卸という重労働の工程を行うのが特徴である。人工的な乳酸を添加せず蔵に棲みつく硝酸還元菌や天然の乳酸菌が生存競争を繰り広げることで雑菌を淘汰し純粋で強靭な酵母を育成する。この自然のメカニズムによる過酷な発酵過程を経るため、出来上がる日本酒は複雑で奥深い旨味と乳酸由来の力強い酸味を持つ酒質となる。(196文字)

山卸、天然の乳酸菌、硝酸還元菌、複雑味、力強い酸味を必須キーワードに設定します。

米をすり潰す山卸の工程から入り、硝酸還元菌や天然の乳酸菌が純粋な酵母を育てる自然発酵のメカニズムを説明します。最後に、その結果生み出される力強い酸味と複雑な旨味の特徴で締めくくります。

SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)二次試験に関するよくある質問

SAKE DIPLOMAの二次試験を受験するにあたり、多くの人が抱きやすい疑問や気になるポイントについて、Q&A形式で詳しく解説します。

万が一二次試験に落ちた場合はどうなる?

一次試験を通過した翌5年間のうち、最大3回まで一次試験が免除されて二次試験から再受験が可能です。

一次試験の合格実績は保持されるため、もし今年落ちてしまっても来年また膨大な公式教本を暗記し直す必要はありません。

今年は一次試験の突破に全力を注ぎ、万が一落ちてしまったら翌年は実技と論述の対策だけに集中してリベンジするという長期的な視野で臨むことも可能です。

テイスティング練習におすすめの銘柄は?

各タイプの王道とされる、標準的なスタイルの銘柄を舌に覚えさせることが重要です。

試験では、誰が飲んでも特定名称や酒母の判別が難しいような個性的すぎるお酒は出題されません。

そのため、ソムリエ協会の基準となるような王道銘柄を反復してテイスティングし、標準的なスタイルをインプットしておくのが合格への近道です。

タイプ別のおすすめ王道銘柄

  • 大吟醸系:獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分(山口県)
  • 吟醸・本醸造系:久保田 千寿 吟醸(新潟県)
  • 生酛系:大七 純米生酛(福島県)
  • 山廃系:菊姫 山廃純米(石川県)

季節限定品ではなく、いつでも購入できる通年商品を選んで基準の味を覚えましょう。

テイスティング練習用のお酒はどのように準備すればいい?

スクールや酒販店が販売している「二次試験対策用の小瓶セット」を活用するのが効率的です。

独学でフルボトルを何本も買い揃えるのは費用面でも消費する量としても大きな負担になります。

また、自分で注いでラベルを見てから飲むと「純米大吟醸だからフルーティーなはずだ」と脳が勝手に香りを補完してしまう認知バイアスがかかり、正しいトレーニングになりません。

対策用の小瓶セットを活用し、銘柄を隠したブラインド状態で複数のお酒を比較しながら反復練習することが、感覚を鍛える最短のルートです。

論述試験は指定文字数に届かないと減点される?

明確な減点基準は非公開ですが、指定文字数(200字程度)の8割以上を埋めるのが安全とされています。

ただし、無理に文字数を稼ぐために無関係な内容を書くのは逆効果です。論述試験の採点は、問題に対する専門的なキーワードが適切に含まれているかを見る加点方式と言われています。

まずは、必須キーワードをしっかりと盛り込み、その上で文字数を整える意識を持ちましょう。

二次試験の服装や香りのマナーに決まりはある?

服装の指定は特にありませんが、香水や香りの強い整髪料などの使用は厳禁です。

自分自身のテイスティングの妨げになるだけでなく、周囲の受験者の迷惑となるため、香りの強い柔軟剤やハンドクリームなども試験当日は避けるのが最低限のマナーです。

服装は普段着で問題ありませんが、試験会場の室温変化に対応できるよう、着脱しやすいカーディガンなどを持参することをおすすめします。

テイスティングのマークシートで用語選びの矛盾を防ぐには?

最終的に選んだ特定名称から逆算し、香りと味わいのコメントに論理的な繋がりがあるかを確認するのが有効です。

直感的な正解・不正解だけでなく、選んだ用語がソムリエ協会の「正解の型」から逸脱していないかを客観的にチェックすることが重要です。

自己採点・見直しでのチェックポイント

  • 香りと味わいの整合性
    • 黄色いリンゴのような華やかな香りを選んでいるのに、味わいで生酛系に多いしっかりとした酸味を選んでいないか
  • 特定名称からの逆算
    • 最終的に純米吟醸と結論付けたなら、選んだコメント群が本当に純米吟醸の特徴(果実香、まろやかな甘味、爽やかな酸味など)に沿っているか

まとめ:正解の型を身につけ、自信を持って本番へ

SAKE DIPLOMAの二次試験は、決して個人の鋭い味覚や嗅覚を競うものではありません。公式教本の知識とソムリエ協会の基準に基づき、目の前のお酒をいかに論理的に評価し、的確な言葉で表現できるかを問う試験です。

テイスティングのマークシート選択も論述試験の記述も、あらかじめ正解の型を理解し、それに沿ったトレーニングを繰り返すことで、着実に得点力を引き上げることができます。

自分の感覚だけに頼るのではなく、試験のセオリーに合わせたロジックで解答を導き出すことを常に意識してください。

限られた時間での過酷な試験ではありますが、正しい方向性で的確な準備を重ねれば、十分に合格を目指せる壁です。この記事で解説したポイントを実践し、ぜひ自信を持って本番に挑んでください。

参考文献

・日本ソムリエ協会「J.S.A. SAKE DIPLOMA
・日本ソムリエ協会「2026 年度 J.S.A.SAKE DIPLOMA認定試験 募集要項
・ワイン受験.com「SAKE DIPLOMA二次試験対策講座

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