ワインの楽しみ方は多様で、それを深く知るほどにその魅力に引き込まれます。特に、高品質なワインの世界では、その保存方法や提供の仕方にも高い技術と知識が求められます。現代では、多くの人々にワインの素晴らしさを伝えるために、ホームワインではワインを小瓶で提供しています。
小瓶は、ワインの新鮮さを保ちつつ、より多くの種類のワインを気軽に楽しむことを可能にするものの、この新しい試みを実現するには、高度な技術と独自の機械開発が必要でした。今回、私たちは更なるクオリティの追求を求め「Vinomatic Ver.3」の開発に至りました。この記事では、ソムリエの佐々木健太さんから見たワインの詰め替えの質や、開発秘話についてお伝えします。
RESEARCH & DEVELOPMENT
全自動化で実現する高級ワインの普及。
ホームワインが3年かけて開発した、ワイン愛好家の夢を叶える
ワインの新鮮さを長持ちさせる革新的ソリューション。
レストランでのマリアージュを小瓶ワインで再現:
ソムリエが語るワインの新たな可能性
2024年4月25日
ワインを小瓶で提供しようと思った
背景を教えてください。
レストランでのシーンを考えていただいても、最近はワインをグラスで頼むのが一般的です。近年、レストランでは「マリアージュ」「ペアリング」などを提供するお店が増えてきました。お客様により多くのワインを楽しんでいただきたいという背景からです。
レストランでは、お客様にお出ししたワインのボトルは、「CORAVIN」(コラヴァン)を使用し、鮮度を保ちます。ワインを注いだ分だけ純度99.9%のアルゴンガスをボトル内に注入するのです。針を抜いても天然コルクが自然に穴を封止するので、ワインは酸素に触れることなく、ボトル内で自然に醸成を続け、何ヶ月経ってもその味を堪能できます。
ここに目をつけ、より多くの方にワインの楽しさや面白さを知っていただきたいとおもい、高級ワインを飲み切りやすい小瓶で提供したいという想いがでてきました。2020年の冬のことです。しかし、一個一個手作業で商品化するよりも、機械に作業をしてもらったほうが、より品質が高く、ボトルと同じ状態でワインを楽しむことができます。このような機械はどこにもなかったので、開発することにしました。
機械を開発し、小瓶を見たときの生産者の方の反応はどうでしたか。
初代の機械を作成し、実際に生産者の方などに小瓶を見ていただいたときは、正直戸惑いの表情を浮かべられる方もいらっしゃいました。海外のワイナリーの生産者のほうが理解してくださる機会が多かったように思います。ワインを小瓶に移させていただく許可をとるのは大変でしたが、私が熱心に関係者の方々にサービスの思いを伝えることで、徐々に取り扱う銘柄を拡大していくことができました。
小瓶に移して1ヶ月のワインを実際に飲んでいただいたところ、香りや味わいが素晴らしく、毎月届いて試飲するサブスクサービスとしては十分な品質であるという評価もいただきました。しかし、3~4か月、半年と時間がたつと、やはり香りや味わいに少し変化がでてきてしまいます。今回の「Vinomatic Ver.3」では特にここを改善することを重視しました。
まずは自動でアルゴンガスを注入する機械をつくり、更にボトルと同じ状態に近づけるため、バージョン2の開発に至りました。小瓶のフタも、より酸素を通しにくく、長期保存がきくものに変更しています。そして、今回のVinomatic Ver.3では、ボトルから小瓶への詰め替え作業における全ての工程を全自動で行うことで、品質をより安定させ、人的エラーが全くおきない状況を作り出しました。まだ完成したばかりで、小瓶に移して1ヶ月のものしかテイスティングしていませんが、香りや味わいはほとんど変わっておらず、実際ワインの溶存酸素も1mg/L程度しか変わっていなかったため、Vinomatic Ver.3には非常に高い期待をしています。
ワインの小瓶化のために機械まで開発してしまうなど、非常に大変だったのではないかと思うのですが、それを実現できた理由をおしえてください。
私は20歳のころ、バーテンダーとして働くなかでワインに出会いました。北海道の田舎にいたのですが、その後、ご縁があって札幌の有名なフレンチで働く機会を得ました。そこでしばらく働くと、「フランスに行け」と言われたのです。言語も全く通じないなか、1年間、ワーキングホリデーのビザを取得し、レストランで修行をしました。帰国してから、若手ソムリエコンクールで優秀賞を取り、全日本コンクールファイナリストにも残りました。
全て、ワインとの出合いがなければ実現しなかったことです。だからこそ、私はワインが自分の人生を変えてくれたと感じていますし、ワインとの出合いが多くの人の人生をより素敵なものにしてくれたら……と思ってホームワインを開発しました。サービスを通じ、1つの店舗で働くよりも、より多くのお客様にワインの喜びや楽しさを広められていることを非常に嬉しく思っています。
このような機械と商品を作れたのは、たまたまよいチームに巡り合えたからという背景は大きいでしょう。ビジネスのことがわかるメンバーがいて、機械がつくれるメンバーがいた。アイデアは浮かんでも、形にできないことは数多くあるからこそ、もっと多くのことにチャレンジして、ワインの楽しさや魅力を伝えていきたいです。
具体的にはどのようなことにチャレンジされたいと思っていますか?
これから試してみたいこととしては、ワインの「熟成」です。もともとワインのボトルの容量は国や産地により様々でしたが、19世紀後半ころからワインボトルの750mlという標準容量が広く採用されるようになりました。ハーフボトルは375mlです。ハーフボトルは熟成が早く進むため、フルボトルよりも飲み頃が早くなると一般的には言われます。
今回、私たちの小瓶は100mlなので、進化や変化がどのようにおきるのか今から非常に楽しみにしています。熟成は、いまだに謎に満ちた部分も多いものです。例えば、「ロマネ・コンティ」とはブルゴーニュで最高評価を受ける特級畑であり、そこから年間6000本程度しかつくられない赤ワインがあります。12本で1ケースなのですが、同じような状況で熟成させたにも関わらず、味は1ケースの中でも全く違うこともあります。5年程度だとあまり変化はないのですが、月日が経つと、熟成はすすみ、変化の度合いは大きくなります。
将来的には、「ワインの自販機を作りたいね」とも話しており、今回のVinomatic Ver.3では、長期保存を可能にする機械を作成できたと自負しています。今後の展開をぜひ楽しみにしていてください。
ホームワイン プロデューサー
佐々木健太(ささき・けんた)
北海道江別市出身。 21歳でソムリエ資格取得後、渡仏。 南フランス・ニースにあるミシュラン一つ星のレストラン「Keisuke Matsushima」にて一年間研鑽を積む。 帰国後、北海道代表として当時最年少で全日本最優秀ソムリエコンクールに出場。「フォーシーズンズホテル丸の内東京」や人気レストランで経験を積んだのち、ワインスクール講師として多くのソムリエを輩出する。その豊かな知識と明快な語り口から自身のYouTubeチャンネル「ソムリエ佐々木」も人気。
北海道江別市出身。 21歳でソムリエ資格取得後、渡仏。 南フランス・ニースにあるミシュラン一つ星のレストラン「Keisuke Matsushima」にて一年間研鑽を積む。 帰国後、北海道代表として当時最年少で全日本最優秀ソムリエコンクールに出場。「フォーシーズンズホテル丸の内東京」や人気レストランで経験を積んだのち、ワインスクール講師として多くのソムリエを輩出する。その豊かな知識と明快な語り口から自身のYouTubeチャンネル「ソムリエ佐々木」も人気。
エディター
雨宮 百子(あめみや・ももこ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、Forbes JAPAN編集部でエディター・アシスタントを経て、日本経済新聞社に入社。記者として就活やベンチャーを取材する。その後、日本経済新聞出版社(現・日経BP)に書籍編集者として出向、60冊以上のビジネス書を作る。担当した『日経文庫 SDGs入門』『お父さんが教える13歳からの金融入門』は10万部を超える。就業中に名古屋商科大学院で経営学修士(MBA)を取得。2022年8月に退職・独立し、ベルギーに。現在はルーヴァン経営学院の上級修士課程で欧州ビジネス・経済政策を学ぶ。ヤングダボス会議とも呼ばれるOne young world 2022の日本代表、現在はアンバサダー。メディアへの執筆のほか、編集業務や海外企業の日本進出支援も行っている。
早稲田大学政治経済学部卒業後、Forbes JAPAN編集部でエディター・アシスタントを経て、日本経済新聞社に入社。記者として就活やベンチャーを取材する。その後、日本経済新聞出版社(現・日経BP)に書籍編集者として出向、60冊以上のビジネス書を作る。担当した『日経文庫 SDGs入門』『お父さんが教える13歳からの金融入門』は10万部を超える。就業中に名古屋商科大学院で経営学修士(MBA)を取得。2022年8月に退職・独立し、ベルギーに。現在はルーヴァン経営学院の上級修士課程で欧州ビジネス・経済政策を学ぶ。ヤングダボス会議とも呼ばれるOne young world 2022の日本代表、現在はアンバサダー。メディアへの執筆のほか、編集業務や海外企業の日本進出支援も行っている。
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