ワイン業界は常に新しいイノベーションを求めています。伝統的な方法と最新の技術が融合し、より良い消費者体験を提供するための新しい方法が模索されている中で、私たちは一つの目標を持っていました。それは、より多くの方に、世界中の高級ワインを飲み比べて欲しいという強い想いです。しかし、通常のボトルで届けると非常に高くなってしまうため、小瓶にするというアイデアにたどり着きました。
このアイデアは、ワイン業界に革命をもたらす可能性があると信じていましたが、その実現には数多くの課題がありました。特に、ワインの品質を損なうことなく、この詰め替えを行うための「Vinomatic Ver.3」を開発した興野悠太郎さんにインタビューをしました。
RESEARCH & DEVELOPMENT
全自動化で実現する高級ワインの普及。
ホームワインが3年かけて開発した、ワイン愛好家の夢を叶える
ワインの新鮮さを長持ちさせる革新的ソリューション。
小瓶革命: 高級ワインをもっと身近に
2024年4月20日
ワインボトルから小瓶にワインを詰め替える
アイデアを聞いたときに、どう感じましたか?
まずは「面白い!」とおもいました。ただ、同時に不安もありました。私自身がワイン愛好家なので、このプロジェクトに取り組む上で、繊細なワインの味わいが変化することへの懸念はありました。
しかし、いくつかの技術的な工夫により、その変化を最小限に抑えることができると確信しました。それ以上に、ホームワインが目指す、世界中の高級ワインを自宅で気軽に飲み比べできる体験提供やそのビジョンに強く惹かれました。この挑戦を受ける価値があると感じ、難しいとは思いましたが、全力で機械の開発に取り組むことを決心しました。
なぜ、今回バージョン3を作ることになったのでしょうか?
初代からバージョン3までの装置を開発するなかで、小さな問題点を改善してきました。バージョン1はアルゴンガス中でのワインの充填の自動化を達成しました。その後、2023年のバージョン2では、バージョン1の機能に加えて、小型化と速度、効率の大幅強化をしました。ワインの酸化を防ぐために、アルゴンガスを利用しているのですが、バージョン2ではアルゴンガスをさらにうまく活用し、小瓶内の酸素量をかなり細かく調整できるようになったのです。
今回、満を持してバージョン3を作ることになった背景は、小瓶のキャップを変更したことです。これまでの小瓶では、中にシリコンが詰められた手で閉めるタイプのキャップを採用していました。しかし半年ほど経つと、中のワインの味が変化してしまうことが分かりました。
よりボトルと同じ状況で長い間お客様に楽しんでいただきたい――。こういった思いで、今までのシリコンのキャップから、酸素透過率が非常に低いアルミキャップに変更しました。機械もこれにあわせて小瓶内の溶存酸素を0.1mg/L単位で調整できるレベルまでバージョンアップしたのです。結果、小瓶でも2~3年保管が可能になりました。今後、時間が経っても楽しめるギフトや、より繊細な味わいの高級ワインなどとホームワインの商品にも広がりが更にでてくることでしょう。
初代からバージョン3までの装置を開発するなかで、小さな問題点を改善してきました。バージョン1はアルゴンガス中でのワインの充填の自動化を達成しました。その後、2023年のバージョン2では、バージョン1の機能に加えて、小型化と速度、効率の大幅強化をしました。ワインの酸化を防ぐために、アルゴンガスを利用しているのですが、バージョン2ではアルゴンガスをさらにうまく活用し、小瓶内の酸素量をかなり細かく調整できるようになったのです。
VINOMATIC VER.2 と興野 悠太郎
今回、満を持してバージョン3を作ることになった背景は、小瓶のキャップを変更したことです。これまでの小瓶では、中にシリコンが詰められた手で閉めるタイプのキャップを採用していました。しかし半年ほど経つと、中のワインの味が変化してしまうことが分かりました。
よりボトルと同じ状況で長い間お客様に楽しんでいただきたい――。こういった思いで、今までのシリコンのキャップから、酸素透過率が非常に低いアルミキャップに変更しました。機械もこれにあわせて小瓶内の溶存酸素を0.1mg/L単位で調整できるレベルまでバージョンアップしたのです。結果、小瓶でも2~3年保管が可能になりました。今後、時間が経っても楽しめるギフトや、より繊細な味わいの高級ワインなどとホームワインの商品にも広がりが更にでてくることでしょう。
バージョン3になったことによる変化を
教えてください。
この変更に伴い、ワインボトルから小瓶に詰め替える過程を、全自動で行うことにしました。ワインボトルの抜栓(シール除去含む)、酸化管理、充填、キャッピングの全工程の自動化が可能となっています。実は、いままでは現場で働いていたスタッフの人がコルクを手であけていたのです。この作業は、腱鞘炎にもなりやすく、非常に大変なものでした。しかし、今回のバージョンでは、小瓶とボトルをセットしたら、あとはすべて機械がやってくれます。
さらに、生産管理も新たに機械をつくる理由の一つでした。今回の装置には、液晶パネルがついているのですが、データベースとすべて連携しています。例えば、今日どんな種類のワインが何本使用されたか……。これらがすべてデータベースと連携しているのです。
現在、ホームワインには100種類以上のワインがラインナップにあります。たとえば、イタリアワインの「ルーチェ」を使うとなったら、ルーチェのデータがすべて機械に登録されています。注ぎ口は●●ミリ、大きさは……など。だからこそ、どんなワインでもセットしたらあとは自動でまかせられます。毎月ワインは追加されますが、追加したら同じように全自動で作業ができるわけです。
VINOMATIC VER.3
ほかにもこだわったポイントと、この機械が世界的にみて何がすごいのかを教えてください。
私はいままでバイオ創薬業界に携わっており、機械を扱っているキャリアは長いです。しかし、今まで作っていたのは研究向けのもの。今回のプロジェクトは機械の知識がない人が簡単に触れて、安全に扱えるようなものをつくることが必要でした。装置の製作において重要なポイントは、洗浄やメンテナンスの容易さです。また、機械を操作する際の安全性も重視しました。
この機械が世界的に見て特質すべき点は、3つあります。まずは、ワインの詰め替えにおける全自動化です。これにより、生産性は大きく向上します。
次に、ボトルと変わらない品質の維持です。”ワインを愛するもの”として、アルゴンガスを用いた酸化管理技術は、まるで魔法のようにワインの鮮度と繊細な味わいを小瓶の中に閉じ込めることが可能です。最後に、誰でも使える機械設計であることです。
レトロなニキシー管を採用したインターフェイスは、生産者が直感的に楽しみながら操作できる体験を生み出しました。これは、ワインを愛するすべての人に、技術との新たな接点を提供します。
現在、この機械に使用している技術は特許も申請中です。弁理士の人にも協力していただき、機械を作る過程で既存の特許技術が含まれていないかなどもチェックしていただきました。
ワイン愛好家の1人として、私はこの機械を通じて、ワインの無限の可能性を感じています。ボトル内の環境をできるだけ保ったまま小瓶へ詰め替え、サイズを小さくすることで、より多くの人に様々な高級ワインを親しみやすい価格で届けることができるからです。
品質の向上により、ビンテージとして熟成を楽しめるようになっていくのも理想的です。このあたりは、ソムリエとも協力しながら引き続き研究していきたいと感じています。
VINOMATIC 開発者
興野 悠太郎(きょうの・ゆうたろう)
慶應大学在学中、抗がん剤などに利用される分子標的薬を設計するバイオベンチャーを創業。創薬の現場にて完全自動機械の重要性を痛感したためロボティクスを独学で学び、ゼロから何でも作れるラボを目指したKyopalab合同会社を設立。TEDxHanedaにて登壇 ほか受賞多数
慶應大学在学中、抗がん剤などに利用される分子標的薬を設計するバイオベンチャーを創業。創薬の現場にて完全自動機械の重要性を痛感したためロボティクスを独学で学び、ゼロから何でも作れるラボを目指したKyopalab合同会社を設立。
TEDxHanedaにて登壇 ほか受賞多数
エディター
雨宮 百子(あめみや・ももこ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、Forbes JAPAN編集部でエディター・アシスタントを経て、日本経済新聞社に入社。記者として就活やベンチャーを取材する。その後、日本経済新聞出版社(現・日経BP)に書籍編集者として出向、60冊以上のビジネス書を作る。担当した『日経文庫 SDGs入門』『お父さんが教える13歳からの金融入門』は10万部を超える。就業中に名古屋商科大学院で経営学修士(MBA)を取得。2022年8月に退職・独立し、ベルギーに。現在はルーヴァン経営学院の上級修士課程で欧州ビジネス・経済政策を学ぶ。ヤングダボス会議とも呼ばれるOne young world 2022の日本代表、現在はアンバサダー。メディアへの執筆のほか、編集業務や海外企業の日本進出支援も行っている。
早稲田大学政治経済学部卒業後、Forbes JAPAN編集部でエディター・アシスタントを経て、日本経済新聞社に入社。記者として就活やベンチャーを取材する。その後、日本経済新聞出版社(現・日経BP)に書籍編集者として出向、60冊以上のビジネス書を作る。担当した『日経文庫 SDGs入門』『お父さんが教える13歳からの金融入門』は10万部を超える。就業中に名古屋商科大学院で経営学修士(MBA)を取得。2022年8月に退職・独立し、ベルギーに。現在はルーヴァン経営学院の上級修士課程で欧州ビジネス・経済政策を学ぶ。ヤングダボス会議とも呼ばれるOne young world 2022の日本代表、現在はアンバサダー。メディアへの執筆のほか、編集業務や海外企業の日本進出支援も行っている。
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